11:名無しNIPPER[saga]
2015/11/14(土) 12:20:25.94 ID:0oXNO4iLo
ほうほう、なるほどね、と、何度もわざとらしく頷いたあと、ありもしない眼鏡を直す手振りをして、
「うそだな」
12:名無しNIPPER[saga]
2015/11/14(土) 12:21:05.88 ID:0oXNO4iLo
「それにしても、部長遅いね? どこまで行ってるんだろう」
「部員が非協力的だから、拗ねてるんじゃないの」
13:名無しNIPPER[saga]
2015/11/14(土) 12:21:34.70 ID:0oXNO4iLo
◇
「ただいま」という静かな声で、俺の意識は浮かび上がった。
14:名無しNIPPER[saga]
2015/11/14(土) 12:22:14.67 ID:0oXNO4iLo
部長は自分の定位置のパイプ椅子に腰掛けて、長めの溜め息をついた。
傍においてあった自分の荷物から下敷きを取り出したかと思うと、うちわ代わりに仰ぎはじめる。
よっぽど暑がっているらしく、額には汗が滲んでいる。
15:名無しNIPPER[saga]
2015/11/14(土) 12:22:42.58 ID:0oXNO4iLo
「だから時間かかったんですね」
「そうそう。職員室でペン借りて三十秒で終わらせたんだけどね」
16:名無しNIPPER[saga]
2015/11/14(土) 12:23:21.48 ID:0oXNO4iLo
「……え、名前が違うだけじゃないの?」
「そうなんですか?」
17:名無しNIPPER[saga]
2015/11/14(土) 12:23:48.78 ID:0oXNO4iLo
「それにしても、勧誘の文句、ダメだったんですか」
「そう。ごめんね、せっかくふたりに考えてもらったのに」
18:名無しNIPPER[saga]
2015/11/14(土) 12:24:19.53 ID:0oXNO4iLo
「……えっとね、最初は、"まったりしましょう"でいいってタクミくんが言って」
タクミくん、も俺のことだ。
19:名無しNIPPER[saga]
2015/11/14(土) 12:24:48.46 ID:0oXNO4iLo
「……で、採用された文章はなんだったんですか?」
部長はブレザーの内ポケットからスマホを取り出して、「ん」と画面をこっちに向けた。
どうやらポスターを撮ってきたらしい。
20:名無しNIPPER[saga]
2015/11/14(土) 12:25:23.68 ID:0oXNO4iLo
「絵の話じゃないです。文です」
「え、文?」
21:名無しNIPPER[saga]
2015/11/14(土) 12:25:49.79 ID:0oXNO4iLo
「大いに不満です。こんな定型文みたいな勧誘文句じゃ、部員なんて来ませんよ」
「うーん、そこはもともと、あんまり期待してないんだけどね」
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