65:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:15:36.54 ID:ZQjZY+y8o
そこからの俺と高森の行動は迅速だった。危険でない程度の速度で廊下や階段を素早く移動。
掲示板や壁をくまなく調査し、例のポスターが貼られていないかどうかを確認。
もし発見された場合はすぐに回収。画鋲は放置した。
66:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:16:31.92 ID:ZQjZY+y8o
と、高森の行き場のない怒りが疑念になって方々に向かいはじめたまさにそのとき、
「おおい」と校舎の方から声が掛けられた。
67:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:17:06.33 ID:ZQjZY+y8o
◇
そんな騒々しい朝の顛末の影響は、案外早く訪れた。
といっても、問題になったのはポスターそのものじゃない。
68:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:17:32.33 ID:ZQjZY+y8o
ノックの音は、なんとなく威圧的に聴こえた。どこか肩肘の張ったような。
でもとにかくノックはノックだったし、ポスターは回収したけど、一応文芸部は部員を募集中だ。
不意の来客があっても変なわけじゃない。
69:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:17:58.64 ID:ZQjZY+y8o
「いや。朝、廊下でその子とぶつかって」と、彼は高森の方を見た。
「あー」という顔を高森はした。
70:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:18:38.96 ID:ZQjZY+y8o
なんでかわからないけど、俺は居心地悪く感じた。
「よくわからないんだけど、どうして文芸部って分裂してるの?」
71:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:19:05.60 ID:ZQjZY+y8o
◇
それから高森は手遊びにも退屈したのか、しまってあった部誌のバックナンバーに目を通し始めた。
手持ち無沙汰になった俺は部長とどうでもいいような話をはじめた。
72:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:19:45.59 ID:ZQjZY+y8o
恋愛映画でようやく結ばれた男女は、三ヶ月後には価値観の違いで別れているかもしれない。
青春小説で固い絆で結ばれた友人たちは、やがては離れ離れになるだろう。
さまざまな思索の末にささやかな幸せを実感できた中年男性は、日々の忙しなさに負けて、また元通り憂鬱な生活を送るのかも。
73:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:20:43.43 ID:ZQjZY+y8o
「あるところに男の子と女の子がいました。ふたりは仲良くなって、お互い好き同士になって、付き合うことになりました」
めでたしめでたし、と部長は言う。
74:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:22:16.04 ID:ZQjZY+y8o
さっきとおんなじように部長が「どうぞ」と言うと、失礼します、と声が聞こえた。
女の子の声。聞き覚えのある声。
俺は少しだけ緊張した。
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