811:名無しNIPPER[saga]
2016/03/08(火) 00:09:43.95 ID:In4DJ8ILo
「いい天気ですね」って、ぐーんと伸びをしながらるーが言う。
彼女は楽しげに、ステップでも踏むみたいに路上を歩いていく。
どうしてだろう?
812:名無しNIPPER[saga]
2016/03/08(火) 00:10:11.10 ID:In4DJ8ILo
「タクミくん、どうしたんですか?」
「猫だ」
813:名無しNIPPER[saga]
2016/03/08(火) 00:10:38.05 ID:In4DJ8ILo
俺はそんなことを考えるのをやめてしまうべきなんだろうか。
ただ楽しそうに笑っていれば、それを幸福と呼べば、それだけでいいんだろうか。
ふと、思い出して、俺は携帯を開く。
814:名無しNIPPER[saga]
2016/03/08(火) 00:11:08.61 ID:In4DJ8ILo
「……行かない」
とよだかは言う。
815:名無しNIPPER[saga]
2016/03/08(火) 00:11:36.41 ID:In4DJ8ILo
「……タクミくん?」
るーが、立ち止まったままの俺を振り返る。
816:名無しNIPPER[saga]
2016/03/08(火) 00:12:30.79 ID:In4DJ8ILo
「だからさ、おまえベースやれよ」
「……話の繋がりが」
817:名無しNIPPER[saga]
2016/03/08(火) 00:12:57.40 ID:In4DJ8ILo
「意味がわかんねえ! なんで俺がそんなことしなきゃいけねえんだよ! 誰もそんなこと頼んでねえ!」
「たっくん、」
818:名無しNIPPER[saga]
2016/03/08(火) 00:13:24.76 ID:In4DJ8ILo
「“それ”だよ」とゴローは言った。
「おまえに足りねえのはそれだよタクミ。いいあぐねて口ごもって言葉に詰まって言いたいことを言わない。
819:名無しNIPPER[saga]
2016/03/08(火) 00:13:54.26 ID:In4DJ8ILo
「だったら騒げよ」
俺は納得がいかないんだって、俺のせいでもないし、誰のせいでもないけど、黙って受け入れるのは嫌だって、騒げよ。
ゴローはそう言った。
820:名無しNIPPER[saga]
2016/03/08(火) 00:14:23.19 ID:In4DJ8ILo
◇
触れたこともないベースにちょっと触る気になったのは、たぶんゴローの言葉のおかげなんだと思う。
よだかのこと、嘉山のこと、死んでしまった猫のこと。
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