過去ログ - 鶴見留美は日陰で過ごしたい
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6:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:35:43.11 ID:MINR9RW5o
これには二つの理由があった。

まず、私はメールやLINEの類のものをあまり好まず、限られた人にしか番号やアドレスを伝えていない。教えた数少ない友人……知人?にも余程のことがない限り教えないでと言ってある。

それともう一つ、これは私の過去の行動が原因だ。中学生の頃私のメールアドレスをどこからか聞き出して、いきなりメールで告白してきた人がいた。それには返事すらしなかった。そして翌日、その人に教室で面と向かってこう告げた。
以下略



7:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:36:26.91 ID:MINR9RW5o
「はぁ……」

また力のない溜め息が漏れた。慣れたこととはいえ、告白を断るのには私も気力を使う。他人の好意を無碍にしてしまうというのは忍びないものだ。

初夏の暖かく穏やかな木漏れ日を浴びながらの昼食を終えると、呼び出された場所に向かうことにした。
以下略



8:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:37:23.46 ID:MINR9RW5o
中学生になった時点で、あの頃のような無責任で無機質で無意味な悪意に晒されることは完全になくなった。

他の人がどうなのかは知らないが、少なくとも私は進学先が変わった時点で人間関係は途切れ、リセットされた。

私も進学してからはスクールカーストの中でそれなりに溶け込み、大過なく生活を送れるだけの社交性を身に付けた。
以下略



9:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:38:00.86 ID:MINR9RW5o
そう思いながらも、私は自らの美しさを自覚してもいた。

可愛いと言われることは決して嫌ではないし、だからというわけではないが、肌や髪なんかにはそれなりに気を使っている。あとは体つきに関する地道な努力も、一応……。無駄な努力なんてないんだから。頑張れ留美。

けど、私は当然のように男子からの告白を断り続けてきた。そしてきっと、これからも暫くそれは続くと思う。
以下略



10:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:38:27.40 ID:MINR9RW5o
なるほど。背も高いし、丹精な顔立ちは優しさも兼ね備えていそうだ。これならモテるというのも頷ける。

でも残念、私は同年代の男子に興味はないの。静かに首だけを降り、そんなのはいいから続きをという意思を目で伝えた。

「……あの、その、えー……。悪い、柄にもなく緊張してて……」
以下略



11:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:38:53.95 ID:MINR9RW5o
「…………俺、お前のことが好きだ。よかったら俺と付き合ってくれ」

意を決したらしい彼から、予想していた通りの言葉が耳に届く。ほとんど面識のない同級生に何故お前呼ばわりされるのかはわからないが、驚きは特にない。これまで何度も繰り返してきたことだ。

だから、私も同じことを繰り返すだけ。
以下略



12:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:39:23.29 ID:MINR9RW5o
いつもそう。よく知りもしない私のことを大したきっかけもなく好きになって、ぶつけてきて、断られて、簡単に諦めてしまう。私には理解できない。

そんなの、本物の気持ちなわけない。本物の気持ちはそんなことで生まれたりしないし、そんなに簡単に捨てられるものじゃない。

私はそう思う。
以下略



13:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:40:03.61 ID:MINR9RW5o
「なら友達から……」

「ごめんなさい」

間、髪を入れずまた頭を下げる。
以下略



14:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:40:29.89 ID:MINR9RW5o
「……そっか。最後、もう一つだけ教えてくれるか?」 

「……うん」

聞かれて困るようなことはさほど多くない。最後だというなら質問に答えるぐらい構わないだろう。
以下略



15:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:40:55.93 ID:MINR9RW5o
あれ、疑問系になっちゃった。

「……それってさ、同級生?」

「ううん」
以下略



16:名無しNIPPER[sage saga]
2015/12/24(木) 00:41:33.03 ID:MINR9RW5o
振り向いて戻ろうとすると、また声をかけられたので足だけを止める。

「さっきお前疑問系だったけどさ、そうじゃなくていいと思う」

「なんの話?」
以下略



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