過去ログ - 雪乃「今年も、よろしく」
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2:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/03(日) 23:56:37.46 ID:hk0qelnk0
立ち上がってうん、と伸びをして窓辺まで歩く。カーテンを開け放って、ベランダに出て外を眺めた。年末に降った雪は未だに道路に白く残されたままだ。
遠くに見えるあれは兄弟? 子供たちが朝から元気に雪遊びをしているのが目に入って、思わず笑みがこぼれた。

「私も頑張らないと」

以下略



3:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/03(日) 23:57:56.19 ID:hk0qelnk0
机に向かっていると、またメールが届いた。小町さんからだった。

『雪乃さんお誕生日おめでとうございます☆ ごみ……間違えました! 兄からも何かするように言っておきますのでお楽しみに!』

相変らず兄妹仲が良さそうで安心する。どこかの家とは大違いねと、少しだけ羨ましく思った。じっと、メールの本文、そのさらに後方を無言で読み返す。
以下略



4:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/03(日) 23:59:29.90 ID:hk0qelnk0

たった今手拍子で送ってしまったメールを見返す。
そんなことをしても、いまさら何も出来ないというのに。

学校で会った時に謝ればいい。でも、何て言えば良いのだろう?素っ気ないメールを送ってしまってごめんなさい? ううん、そんなことをいきなり言われてもきっと小町さんは困ってしまう。だから……どうしようか?
以下略



5:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/04(月) 00:01:00.64 ID:bBjfBo6F0

ふと外を見れば、もう薄暗い。
冬至を過ぎたとはいえまだ1月。日が伸びたなと感じるには、もう少し時間がかかりそうだ。

「紅茶でも飲もうかしら」
以下略



6:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/04(月) 00:02:09.70 ID:bBjfBo6F0

「もしもし」

『ひゃっはろー雪乃ちゃん!』

以下略



7:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/04(月) 00:03:38.78 ID:bBjfBo6F0

『誕生日。おめでとうね、雪乃ちゃん』

素直に驚いた。
予想の斜め上だったから。姉さんがこれだけわかりやすい言葉を掛けてくれることが、久しくなかったから。電話の向こう側からは退屈そうな声が聞こえてくる。
以下略



8:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/04(月) 00:05:36.10 ID:bBjfBo6F0
うふふ、という含み笑いが聞こえてきた。今電話の向こうでどんな顔をしているかを想像すると、一刻も早く電話を切りたくなってしまう。

『いや、愛しの彼からプレゼントは貰ったのかなーって思って』

とくん、とまた心臓が跳ねた。
以下略



9:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/04(月) 00:07:22.63 ID:bBjfBo6F0
夕食は冷蔵庫に残ったもので簡単に済ませた。

本来であればもう少し机に向かうところだけれど、今日はどうにも手に付かなかった。
原因はわかっている。けれど、その原因を自ら除くことが出来ない。やる、やらないではなく、出来ない。なら私にはどうしようもない。そんな諦めの境地だった。

以下略



10:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/04(月) 00:08:45.32 ID:bBjfBo6F0

『うんうん。でね? この前メールで話したかもだけど、部室でパーティしようかってなってるんだけど』

「でも迷惑、ではないかしら? みんな受験勉強で忙しいだろうし」

以下略



11:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/04(月) 00:10:22.17 ID:bBjfBo6F0

「どうしたの?」

『ううん何でもないよ。 ところで今日どうだった? なにしてたの?』

以下略



12:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/04(月) 00:12:00.92 ID:bBjfBo6F0
おやすみなさい。そう言い残して電話を切った。

彼女との付き合いももうすぐ2年。あの頃よりきちんと成長したと思えば、どこか抜けていて。けれど、彼女も私にないものを持っている。それに随分と助けられてきた。
だから、今日言ったありがとうだけじゃきっとまだ足りない。由比ヶ浜さんに言えば否定されてしまうのだろうけれど。
笑みが自然とこぼれる。
以下略



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