483: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/10(水) 23:04:11.91 ID:xQt0KHc3O
左足を怪我した男が、急発進するミニクーパーにふたたび銃弾を浴びせかける。タイヤを狙った狙撃は、逸れてアスファルトを削るか、タイヤ周りのボディ部分にあたるかで、ミニクーパーの走行を止めるには至らなかった。
ミニクーパーが、切開部分のように開いたフェンスの切れ目を通過する。その際、右側のフロントバンパーがフェンスにぶつかり、コンクリートに打ち込まれたフェンスの基礎を破壊していった。その衝撃で美紀はふたたびアクセルから足を離したが、慣性で進む自動車は校舎に向かって直進を続けた。永井は、ミニクーパーが校舎に激突する寸前にハンドルを右に切った。フロントバンパーが擦れ、窓下に植えられた緑化樹木を巻き込みながら、自動車の運動はつづく。
484: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/10(水) 23:05:05.56 ID:xQt0KHc3O
ーー地下一階
由紀は、校舎の一階部分と緊急避難区域を分断するシャッター前に一人で立っていた。悠里とともに地下に避難した由紀は、しばらくのあいだ就寝していたらしく、気づいたときには物資保管庫のあいだに横たわっていた。
485: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/10(水) 23:05:55.53 ID:xQt0KHc3O
由紀「なに?」
悠里「ごめんなさい……さっきの」
486: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/10(水) 23:06:45.16 ID:xQt0KHc3O
二回目の沈黙を破ったのは、今度は由紀だった。
由紀「そろそろ、いこっか?」
487: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/10(水) 23:07:50.58 ID:xQt0KHc3O
戸惑う由紀に、悠里は自分の心情を吐露し始めた。
悠里「外に行くのがこわくて仕方ないの。助けに行かなきゃいけないのに、身体が動かないの」
488: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/10(水) 23:08:38.21 ID:xQt0KHc3O
由紀「うん。くるみちゃんとみーくん見てくる」
由紀「大丈夫だよ」
489: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/10(水) 23:09:42.41 ID:xQt0KHc3O
シャッターは閉まりきっておらず、わずかに隙間があいていた。由紀はとくに考えもせず手を伸ばしシャッターに触れてみると、素手ではとても触れられない程の高温におもわず手を引っ込めた。手に息を吹きかけ、やけどしてないことを確認すると、バットの柄を隙間に差し込み、ほじくりながらシャッターを開けようとする。
かりかり、という無駄ともおもえる作業の音がする。シャッター部分と地面のコンクリートが金属バットによって擦られている。涙ぐましい擦過音がすこしの間響いたあと、突然、シャッターがガタガタと揺れ出した。
490: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/10(水) 23:17:25.18 ID:xQt0KHc3O
由紀「あれ?」
永井「あ?」
491: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/10(水) 23:19:06.34 ID:xQt0KHc3O
由紀「け、けーくん、それどうしたの!?」
永井「ああ、これ?」
492: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/10(水) 23:20:03.50 ID:xQt0KHc3O
笑い転げる二人に、オロオロとうろたえる由紀。呆れた永井はため息を一つついてから、血の感触が気持ち悪いシャツを着替えるため、先に一人で階段を降りていった。
由紀「あっ、待って、けーくん!」
493: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/10(水) 23:27:42.95 ID:xQt0KHc3O
今日はここまで。フラッド現象の描写については、原作と異なるところもありますがあくまで演出ということでどうかご容赦を。
次回の更新がおそらく最終回となります。本編が完結したら、SS本編に登場させられなかった『亜人』側のキャラクターのおまけをいくつか書きたいと思います。読んでくださってる方々には、更新が遅れてることが申し訳ないです。できるだけ早く更新するよう努力しますので、もうすこしだけお付き合いください。
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