過去ログ - ゆき「亜人?」
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556: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/09/11(日) 00:18:02.13 ID:e9pvm4lpO

次に発言したのは、黒髪をオールバックにした年配の男だった。


黒服・1「生き残るにしても戦うにしても、どっちにしろやることに変わりなさそうだ」
以下略



557: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/09/11(日) 00:19:52.32 ID:e9pvm4lpO

戸崎と下村は休憩スペースから離れ、割り当てられた業務用の一室にむかった。白っぽい、無味乾燥とした廊下ですれ違うものはだれもいなかった。施設を自由に行き来できる収容者は限られていたため、ある特定のスペースには雑然と人でごった返しているのに、その他、施設のほとんどのスペースは無菌室のように白く閑散とした空白ばかりが目に映るといったありさまだった。

戸崎は部屋にむかいながら、現実問題として、佐藤と戦える猶予はそう残されていないと考えた。人的資源も、物的資源も、時間経過に比例するように減ってきている。そういった資源の減少がなくとも、日常が一変し、外に出ることはかなわず、一か所に押し込められ、外に出れば“かれら”の群れにはらわたを喰われることを覚悟しなければならない、そんな状況では精神的に磨耗するしかなかった。時間がたてばたつほど、われわれは弱くなっていく、と戸崎は思った。

以下略



558: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/09/11(日) 00:22:30.29 ID:e9pvm4lpO

下村「戸崎さん、大丈夫ですか?」

戸崎「なにがだ?」

以下略



559: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/09/11(日) 00:24:07.97 ID:e9pvm4lpO
銃弾は、生命維持装置の上を通り過ぎ、装置の真上にある壁にちいさな穴をあけた。意志的な力を失い、残された運動は、重力によって床に接地するだけになった死者は、まるで壁にあいた穴に吸い込まれるように、身体をぐにゃんと傾け、生命維持装置めがけて倒れこもうとしていた。


下村「あっ」

以下略



560: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/09/11(日) 00:26:21.95 ID:e9pvm4lpO
おまけAおわり。戸崎たちのいる施設の描写はかなり適当です。

われながら、半感染状態の佐藤さんはいいアイデアだと思うんですがどうでしょう?


561:名無しNIPPER[sage]
2016/09/11(日) 16:21:50.29 ID:M4RlIWatO

佐藤編だけで中編一本いけてしまう


562:名無しNIPPER
2016/09/11(日) 22:33:31.54 ID:byFP3N+h0
中野が言っていた村井さんというのはアイアムアヒーローのブライですか?
もしそうならこの世界のどこかには英雄や藪がいるかもしれませんね。



563: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/09/23(金) 22:18:16.21 ID:m50+y+cIO
>>562 思いつきで入れた小ネタだったんですが、気づいてもらえるとうれしいですね。

『アイアムアヒーロー』といえば、海法さんもツイッターで呟いてた11月に出る「世界初、ゾンビ総合的学術研究書」たる『ゾンビ学』という本でかなりのページを割いて論述されてるみたいなんですが、目次を見る限り『がっこうぐらし!』も扱われてるようです。それどころか周縁的な扱いですが『亜人』もこの本に登場するようなので、このssの作者としてはかなり気になる本です。

今夜はおまけ二本です。と、そのまえにシャワー浴びてきます。


564: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/09/23(金) 23:00:05.94 ID:m50+y+cIO
では、いまから投下します。


565: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/09/23(金) 23:00:32.93 ID:m50+y+cIO

琴吹武は、このような隙間だらけの建物に腰を下ろしたのはいつぶりだろうと感慨にふけっていた。琴吹がいるのは、建築途中のマンションの十五階にあたる場所で、いかなる壁も窓も存在していなかった。コンクリートの柱と各階層の基盤となる床、というか平べったいコンクリートの塊といったほうがその実に近い、外から見れば立体駐車場みたいな建物だった。

いま琴吹がいる場所の右手にあるのは、一時間ほどまえに西日が差し込んできた、映画館のスクリーンのような、長方形に切り取られたガラスもなにもない、窓代わりの開いた空間だった。横七・〇五メートル縦三メートルの大きさで、この横縦比率二・三五:一は、シネマスコープと呼ばれるスクリーンサイズと同じ比率だった。この大画面から見えるものは、どこにでもあるありふれた街の風景でしかなかったが、一時間前に夕日で一面赤く染まった街並みを見下ろしたときは気分がよかった。その風景を見たとき、琴吹はむかしテレビで観た『風櫃の少年』という映画に、ちょうどこれと同じようなシーンがあったことをふと思い出していた(しかし、『風櫃の少年』のアスペクト比は一:一・八五のアメリカンビスタだ)。

以下略



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