1:名無しNIPPER[saga]
2016/03/21(月) 23:25:35.59 ID:2KCsZntu0
「なぁ、もし世界が終わるとしたらどうする?」
「……どうでもいいから寝てたい」
というかなんだ、急に。
扉と窓と机とソファーと散らばった飴玉。
どこまでも四角い部屋の中で杏はぐうたらしている。
テレビからはつまらないコメディショウが流れていて、空気には眠りの粒子が沢山紛れ込んでいた。
そろそろいい感じに睡魔に負けそうだったのに、ベッド代わりに体を預けてる同居人からつまらない質問をされて微睡みから遠のく。
世界の終わりなんて来たら杏は大惨敗だ。やっと三日三晩惰眠を貪る生活を獲得したっていうのに、あんまりじゃないか。
改めて寝やすい姿勢を探るため、体をもぞもぞと移動させる。
動く度やつが苦悶の声を漏らすので、気になって足を指でつつくと逃げるように身じろぎした。どうも足が痺れてるらしい。
……くふふふふ。
わざと振動が響くように大袈裟に動いて、結局、彼の太ももではなくおへそくらいの位置を枕にする。
太もものふわふわ枕はやっぱりきらりと比較してしまうけど、代わりにちょっとゴワゴワな固いお腹の枕は彼女にはない感触だ。
二度寝には硬い枕が丁度いい。
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2:名無しNIPPER[saga]
2016/03/21(月) 23:38:28.70 ID:2KCsZntu0
「邪魔だ、いつものぬいぐるみはどこやった」
「だって今はいらないでしょ、プロデューサーがいるし」
3:名無しNIPPER[saga]
2016/03/21(月) 23:50:21.86 ID:2KCsZntu0
彼は昔から色んな質問を杏にしてきた。
「もし、一億円当たったらどうする」とか「もし、アイドルじゃなかったらどうしていた」とか。それはどれも大した意味もない、くだらないやつだった。
決してお喋りというわけではなく、多分何も考えてないだけで、ふと思いついた疑問をなんとなく口でなぞっているだけなんだろう。
そんな質問じゃこっちだって思考停止する。
4:名無しNIPPER[saga]
2016/03/21(月) 23:59:39.85 ID:2KCsZntu0
「一人で寝るよりは、二人の方がいいだろう」
星屑の点と点を線で繋ぐように、今を紡いできたお前とだから。
5:名無しNIPPER[saga]
2016/03/22(火) 00:20:35.53 ID:w8NWr5C/0
☆
6:名無しNIPPER[saga]
2016/03/22(火) 00:27:50.38 ID:w8NWr5C/0
「昨日寝不足だったんだよ、足が痺れたせいで」
彼女は大きな目をくりくりとさせながら、可愛らしく首を傾げる。へにゃりとした口と相まって、猫のような小動物を連想させる。
7:名無しNIPPER[saga]
2016/03/22(火) 00:36:27.18 ID:w8NWr5C/0
「杏ちゃん、旦那さんとはどう?」
「プロデューサー?」
8:名無しNIPPER[saga]
2016/03/22(火) 00:46:28.80 ID:w8NWr5C/0
☆
9:名無しNIPPER[saga]
2016/03/22(火) 00:51:06.83 ID:w8NWr5C/0
308号室のプレートを確認し、その前で深呼吸をする。
扉の代わりに申し訳程度にかかっているカーテンを軽い力で引いてやれば、そこには寝転びながら週刊誌を読んでいる彼がいた。
そばにはイヤホンがつながったままのラジオが転がっている。
10:名無しNIPPER[saga]
2016/03/22(火) 01:05:58.60 ID:w8NWr5C/0
「……プロデューサーってさ、どうなの」
「どうって?」
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