93: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 04:04:12.39 ID:vxIFxQsM0
P「たとえば昨日、お前が高峯と会うことがなかったとしても、いつかはこのことに直面していたかもしれないんだ」
P「そう考えると、彼女自身がアイドルというものをいま一度考える良い機会になったと思う」
そう言うと、卯月はまだなにかを言いたげな顔をしながらも、頷いてくれた。
94: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 04:04:57.66 ID:vxIFxQsM0
卯月「……もう、行っちゃうんですか?」
気が付けば、卯月がこちらをじっと見つめている。
P「ああ。高峯のところに行かないと」
95: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 04:05:35.31 ID:vxIFxQsM0
卯月「きちんとご飯は食べてますか?」
P「少しは自炊も覚えたよ」
いつだったか、彼女がアイドルだったころは、なにも作れなかった。
96: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 04:06:19.61 ID:vxIFxQsM0
卯月「……プロデューサーさんは」
卯月「やっぱり、変わってませんね」
もう彼女はアイドルではないし、もう俺は彼女の担当ではない。
97: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 04:07:14.26 ID:vxIFxQsM0
卯月「プロデューサーさんの電話番号も、消すべきだったんです」
両目の辺りをぐしぐしと擦りながら彼女は幼子のように話した。
98: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 04:07:45.09 ID:vxIFxQsM0
P「……ごめんな。お前をトップアイドルにしてやれなくて」
彼女は大げさにかぶりを振った。
卯月「プロデューサーさんは悪くないんです、無理をしたわたしが悪いんです」
99: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 04:08:38.18 ID:vxIFxQsM0
卯月「ねえ、プロデューサーさん」
P「うん?」
100: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 04:10:07.41 ID:vxIFxQsM0
卯月「アイドルしていたころの歌は、いまでも歌えますよ」
別れ際に、彼女がそう言った。
P「S(mile)ING! か」
101: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 04:12:33.49 ID:vxIFxQsM0
ひとひらの花弁が降り積もるようにして、それから、暫くの時間が流れた。
102: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 04:13:47.22 ID:vxIFxQsM0
ある日に、高峯のあを擁するうちのプロダクションは、とある発表を行った。
多くは語らず、ただ開催する旨とその日取りを告げた。
もはや、それだけでよかった。
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