過去ログ - 千川ちひろ「カクテル」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/01(金) 01:49:40.42 ID:XGVZ0Gc90
アイドルマスターシンデレラガールズ、天使で女神の千川ちひろさんのお話です。

字の文あります。独自設定です。人によっては暗めに感じると思います。

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2:名無しNIPPER[sage]
2016/04/01(金) 01:50:05.85 ID:GkPbSwHN0

面白かった


3:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/01(金) 01:50:08.57 ID:XGVZ0Gc90
「ふぅ……」

 三年目ともなるとこの仕事にも大分慣れたと思う。でも、疲れは慣れたからと言ってなくなるようなものではないのだろう。

「たまには飲んで帰りますかね……」
以下略



4:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/01(金) 01:50:47.26 ID:XGVZ0Gc90
 ふいにグラスが置かれる音がして我に帰る。ぼーっとしていたからだろう。お酒の名前を聞きそびれてしまった。一体これはなんというお酒なのだろうか。

「まぁ、名前なんていいですよね……」

 一口飲むと甘い香りが広がる。渇いた喉に甘いカクテルが心地よく染み渡る。注文した通りの甘いカクテルは飲みやすく優しかった。気を付けないとあっという間に飲み干してしまいそうだ。
以下略



5:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/01(金) 01:51:15.28 ID:XGVZ0Gc90
「ちひろさん?」

 私が詮無き事を考えていると、とても懐かしい声が耳に届いた。二年ぶりくらいに私の名前を呼ぶ彼の声は昔と何も変わらないままだった。

「プロデューサーさん……?」
以下略



6:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/01(金) 01:51:43.62 ID:XGVZ0Gc90
 久しぶりに会うからだろう。お互いに探り探りな会話になってしまう。色々と言い合っていたあの頃がひどく遠い日のようだ。そう考えればぎこちなくなってしまうのも仕方がないのかもしれない。

「結婚されたんですね」

 彼が私の左手の薬指に目をやりながら言う。以前はタブーのように避けていた恋愛の話題に躊躇なく踏み込んできた。私も彼もそれだけ歳を重ねたという事だろう。
以下略



7:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/01(金) 01:52:19.80 ID:XGVZ0Gc90
「わかりますか? 先月、長女が産まれたんですよ。もう可愛くて可愛くて」

 幸せそうな表情を浮かべながら、彼は先月産まれたという子供の写真を見せてくれた。写真には目元だけが彼に似た子供が写っていた。

「ふふっ。可愛いですね。目元はプロデューサーさんに似てますね」
以下略



8:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/01(金) 01:52:46.69 ID:XGVZ0Gc90
「じゃあ、お子さんのためにも早く帰ってあげないといけませんね」

 これ以上、彼の子供の話は聞きたくない。五年前心の底から欲しかった彼の子供だが、そこに私の面影はないのだ。彼が私以外の人の物になってしまったと痛感させられてしまう。

「いやぁ、そういうわけにもいかなくて……これから接待なんですよ」
以下略



9:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/01(金) 01:53:13.72 ID:XGVZ0Gc90
 すっかり口をつけるのを忘れていた名前も分からない甘いカクテルを一気に飲み干す。

「すみません、私はこれで失礼しますね。旦那が待っていますし、明日も早いので」

 彼と過ごす夜から逃げるために、私が立ち上がりながら財布を取り出そうとする。しかし、そんな私の手を彼が久しぶりに会えたんですから、と言って止めた。
以下略



10:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/01(金) 01:53:46.10 ID:XGVZ0Gc90
 バーを出て、旦那の待つ家に向かう。確かに今の私は幸せだ。でも、私が本当に手に入れたかった幸せではない。彼に恋をしていた五年前。想いを告げる事もないまま散っていった私の恋は今も心のどこかでくすぶったままだ。

彼が結婚すると知り、逃げるように事務所から去った私は、何かを失ってしまったのだろう。転職して今の旦那と知り合い、形だけの幸せは手に入れた。みんな幸せだといいなと願えば願うほど旦那と二人で撮った写真が増えていく。そんな仮初の幸せ。でも仮初の幸せでは失ってしまった何かを埋める事は出来なかったようだ。

 もし、もしもだがあのまま一緒に飲んでいれば何かが変わったのかもしれない。何もしないまま失ってしまった何かを、あと一押しで手に入れられたのかもしれない。仮定ばかりが頭の中をぐるぐると駆け巡る。あの頃と何も変わっていない私にはどうせ何も出来ないのに。言い訳ばかり並べて何も出来やしない。
以下略



11:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/01(金) 01:54:18.26 ID:XGVZ0Gc90
 彼と居た頃は一日がとても短く感じた。でも、彼の居ない今は一日がとても長く感じてしまう。

「一日がこんなに長く感じるのに」

 でも、どれほど一日を長く感じていても時の流れは変わる事は無い。時の流れは平等だ。
以下略



12:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/01(金) 02:00:16.41 ID:XGVZ0Gc90
以上です。

Hysteric Blueの「カクテル」よりタイトル、文章を大分拝借しました。スパイラル〜推理の絆〜のEDでした。
「Home Town」という13thシングルに入っています。
「Home Town」も良い曲です。是非聞きましょう。
以下略



13:名無しNIPPER[sage]
2016/04/01(金) 02:18:48.40 ID:0/Bb5xwV0

…また爆死したのかな…


14:名無しNIPPER[sage]
2016/04/01(金) 10:57:04.46 ID:zk/X2p/3O
奈緒はどうした


15:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/01(金) 23:49:54.75 ID:XGVZ0Gc90
>>14
勿論出てないですよ


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