61:名無しNIPPER[saga]
2016/04/13(水) 00:53:54.40 ID:i6zLcA0Oo
◇
放課後になるとゴローが会いに来て、「ちょっと付き合ってくれ」と俺を呼んだ。
62:名無しNIPPER[saga]
2016/04/13(水) 00:54:26.36 ID:i6zLcA0Oo
今も、あのときのように取り乱した様子はない。
彼は鞄を背負って、既に帰ろうとしているところだった。
ゴローは物怖じせずに、
63:名無しNIPPER[saga]
2016/04/13(水) 00:54:54.66 ID:i6zLcA0Oo
「まあそう言うな」
と言ってゴローは嘉山の肩を掴んだ。
64:名無しNIPPER[saga]
2016/04/13(水) 00:55:21.32 ID:i6zLcA0Oo
とはいえ嘉山は断るだろう、と、俺はそう思った。
思ったのに、
65:名無しNIPPER[saga]
2016/04/13(水) 00:55:47.91 ID:i6zLcA0Oo
◇
そこからは慌ただしかった。
66:名無しNIPPER[saga]
2016/04/13(水) 00:56:32.43 ID:i6zLcA0Oo
屋上に出ると、見覚えのある後ろ姿が立っていた。
シャボン玉が飛んでいる。
67:名無しNIPPER[saga]
2016/04/13(水) 00:57:02.18 ID:i6zLcA0Oo
飛んでいくちいさなシャボン玉を眺めながら、佐伯が歌をうたうのがかすかに聞こえた。
――だれかがしにかけているとき、きみはいきるよろこびにある。
68:名無しNIPPER[saga]
2016/04/13(水) 00:57:37.71 ID:i6zLcA0Oo
佐伯は、静かにシャボン玉を吹いてから、ボトルとストローを置いて、振りかぶった。
手の中には鍵がある。
「えい」
69:名無しNIPPER[saga]
2016/04/13(水) 00:58:18.74 ID:i6zLcA0Oo
◇
ゴローの家で飼っていた猫が死んだのは、期末テストが終わった日の午後のことだった。
70:名無しNIPPER[saga]
2016/04/13(水) 00:59:03.06 ID:i6zLcA0Oo
俺はさすがにどうしていいか分からなくなったけど、ここまで来たらなかば意地でついていく。
斜面にやられて転びそうになりながらも、俺はゴローについていく。
やがて、彼の自転車は止まった。
71:名無しNIPPER[saga]
2016/04/13(水) 00:59:34.46 ID:i6zLcA0Oo
つづく
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