過去ログ - モバP「二兎追い人の栞」
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37: ◆m03zzdT6fs[saga]
2016/04/12(火) 22:51:17.85 ID:k7FwQOIQo
お言葉の数々、ありがとうございます。
もう少し投下の予定でしたが、急な呼び出しがあったのでひとまずは以上で更新といたします。
後ほど、再度投稿するかもしれません。ありがとうございました。


38: ◆m03zzdT6fs[saga]
2016/04/13(水) 03:28:36.68 ID:MBJxBtU4o
□ ―― □ ―― □


『……? あれ、知らない番号からだ』

以下略



39: ◆m03zzdT6fs[saga]
2016/04/13(水) 03:29:04.53 ID:MBJxBtU4o
『はい、もしもし』

「んむ? 意外とすぐに出るのだな。……ああ、失礼。これはPくんの携帯で合っているかな?」

『え? ああ、はい。そうですが。……失礼ですが、どちら様で?』
以下略



40: ◆m03zzdT6fs[saga]
2016/04/13(水) 03:29:30.84 ID:MBJxBtU4o
 ただまあ、連絡が来てしまったものはどうしようもない。少々心の準備が出来ていなかったが、腹を決めて話を聞くことにしては、

『いえ、お話は伺っています。なんでも、ライター兼エンジニアを探しているとか?』

 僕はそう答えた。じゃじゃ馬云々はとりあえず伏せておくことにして。そうでないと、もしかしたら編集長の立場が悪くなるかもしれない、とちょっと思ったから。
以下略



41: ◆m03zzdT6fs[saga]
2016/04/13(水) 03:30:03.08 ID:MBJxBtU4o
 そもそも、時間も報酬も融通が利くなら、適当な広告代理店とデザイナー会社に発注を掛ければいい話だ。併せて百万そこそこ。

 芸能プロダクションという特殊性と継続的なメンテナンス費用とサーバー代を合わせたって、上乗せ四十万から五十万と言ったところだろう。

 なのに、それらの仕事を全部ひとりの人間が――まあ、継続的なメンテナンスとかは除いたとしても、到底できるはずもない。エンジニアと一括りにしても、その中にはいくつかのジャンルがあるのだから。
以下略



42: ◆m03zzdT6fs[saga]
2016/04/13(水) 03:30:30.78 ID:MBJxBtU4o
『……わかりました、とりあえず話だけ。明日の十時ですね』

 なんとも押しに弱いものだと、自分でも呆れかえるばかり。いや、こればっかりはどうしようもないだろう。僕が押しに弱いのではなく、向こうの押しが強かっただけだ。責めないでほしいものだ……なんて、誰に対する釈明かも分からないことを内心呟いて。

 となると、さっきの慌ただしい対応も何か演技のようにも思えてくる。キャッチセールスか何かで、事務所に連れ込まれて、壺を買わされる……みたいな。
以下略



43: ◆m03zzdT6fs[saga]
2016/04/13(水) 03:31:03.28 ID:MBJxBtU4o
『……あれ?』

 あまり見かけない、書店がそこにあった。まあ、見かけないのは当然ではある。この辺りに来たことはほとんどないのだから。だけれども、それでもあまり見かけない店構えだ。

 いわゆるチェーン書店というわけではなく、かといって個人経営の店というわけでもない。いや個人経営に違いはないのだろうけれど、なんというか……店の軒先に本が見えないのだ。
以下略



44: ◆m03zzdT6fs[saga]
2016/04/13(水) 03:31:45.68 ID:MBJxBtU4o
『……いい匂いだ』

 入った途端、どことなく大図書館を思わせる様な、心地よい匂いが鼻腔をくすぐる。年季の入った、本の匂いだ。

 刷りたての本というのもなかなかいい匂いがすると思う。印刷で使われる、独特のインキの匂いだ。けれど、古書の匂いはそれとはまた違った良さがある。……匂いフェチとか、そういうのではないとは思うけれども。
以下略



45: ◆m03zzdT6fs[saga]
2016/04/13(水) 03:32:20.63 ID:MBJxBtU4o
(また、積まれる本が増えるなあ)

 なんて、自分に少し呆れつつ僕は棚を一つ曲がり、また一つ曲がり。店の奥、キャッシャーがあるだろう場所へと歩いていく。

 ただでさえ、今読んでいる本が三部作で、しかも一部ごとに上下巻のある超大作なのだ。ついでに言えば、前日譚なんかも読み始めれば、向こう一週間ほどは楽に消えるだろう。
以下略



46: ◆m03zzdT6fs[saga]
2016/04/13(水) 03:32:54.32 ID:MBJxBtU4o
『あの、すみません。これ、頂きたいのですが』

 単なる残像だ、動くはずもない。そう思った。

 ……ゆっくりと、その顔が動いた。残像なんかじゃあ、なかった。じゃあなんだ? 奇妙なほどにまで頭が回らず、ただ、目の前の人物を見ていることしかできない。
以下略



47: ◆m03zzdT6fs[saga]
2016/04/13(水) 03:33:27.24 ID:MBJxBtU4o
□ ―― □ ―― □


 まるで金魚のように、僕がぱくぱくと口を動かして二の句を告げないでいると、彼女はしばらくじっと僕を眺めて。そして今まで読んでいた本の間に栞を挟み、ゆっくりと閉じる。

以下略



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