59:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:50:14.50 ID:6D4QUdRpo
蘭子「なにごと……?」
隣の部屋にいた蘭子がこちらを覗いていた。
美優のすすり泣く声だけが痛々しく響いている。
楓はきまり悪そうに黙ったまま、目を逸らしてその場に突っ立っていた。
60:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:51:08.04 ID:6D4QUdRpo
楓「それは私のせいじゃないと思いますけど」
美優「私が居ないからって2人して楽しそうに遊んで! せめて私にもそういう名前を付けてくれててもよかったじゃない! なによ、"わが友"って!」
美優にそんなつもりは一切無かったが、この一言が良くなかった。
61:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:51:54.46 ID:6D4QUdRpo
蘭子がこんなに激しく感情を顕わにするのは初めてだった。
美優がよしよしと頭を撫でて抱きしめてやっても一向に泣き止む気配がない。
子供の泣き声というのは悲痛なものである。
一方楓は、蘭子の思わぬ豹変にすっかり面食らってしまいオロオロしながら部屋を行ったり来たりしていた。
62:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:52:25.55 ID:6D4QUdRpo
美優「……眠っちゃいました。泣き疲れたんでしょうね」
しばらく経ってようやく静かになると、美優は安心したように戻ってきた。
楓はなんとなく気詰まりな思いがして黙っていた。
63:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:52:55.27 ID:6D4QUdRpo
楓「そんなこと無いと思いますよ。ただ、蘭子が普通の子供と違うだけです」
美優「……そうね」
独り言のように呟くのだった。
64:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 22:06:37.75 ID:6D4QUdRpo
◇ ◇ ◇
数ヶ月が経った。
65:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 22:07:10.76 ID:6D4QUdRpo
外へ連れ出すだけなら難しい事ではなかった。
一応、協会へ申請する決まりになっているが、ドールが所有者の居住範囲から離れた時に所有者のIDOLに自動的に許諾通知が届くようになっているため、煩雑な手続きなど一切する必要がないのだ。
美優たちは単に蘭子を外に出すのを怖がっているだけなのである。
一口に怖いと言っても、その理由は様々だったが。
66:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 22:07:50.21 ID:6D4QUdRpo
楓「いいじゃないですか。行きましょう。私も暇ですし」
蘭子の顔がパアっと明るくなった。
しかし美優はどこか不安そうである。
「でも……」と言いかける美優の手を、楓はそっと抑えて黙らせた。
67:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 22:08:32.40 ID:6D4QUdRpo
……夜、蘭子が寝てしまってから、楓と美優は話し合った。
主に蘭子が外出するにあたっての心配事である。
美優「転んで怪我したりしないかしら」
68:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 22:09:32.97 ID:6D4QUdRpo
楓「あそこは元々保守派が集まって出来た一角ですし、確かサーフェイスWETの設備工事に反対していたはずです。私が一番心配なのは、買い物中に蘭子がいきなり活動停止になったりしないかっていう所で……」
美優「か、活動停止!?蘭子ちゃんが動かなくなるってことですか!?」
楓「シッ、静かに……蘭子が起きちゃいますよ」
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