38:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:44:55.39 ID:b+Qvcd5ho
暗い道を歩きながら、わたしはケイくんの方を盗み見た。
彼はこちらに気付かずに道の先を見ている。
案内を勝手に押し付けたから、道が合っているかどうかを確認しながら歩いているのかもしれない。
「ねえ、ケイくん」
沈黙がなんとなく気まずくて、わたしは声をかけてみた。
「なんだよ」
「どうしてわたしたち、こんなところまで来ちゃったんだろうね?」
ケイくんは一度立ち止まって、あたりの様子を確認した。
道の脇から伸びた木々の梢が空を隠している、右手に見えるブロック塀の向こうは古い家々。
この一本道の先、翳る道を抜けたところに、光を浴びた小さな坂道がある。
ケイくんが一向に返事をよこさないので、わたしはなんだか不安になった。
たしかに、怒らせても仕方ない言葉だったかもしれない。
でも、なんだか……本当にそんな気分だったのだ。付きあわせているのがわたしだと、分かっているけれど。
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