39:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:45:41.13 ID:b+Qvcd5ho
「ケイくん……?」
もう一度声を掛けたとき、彼はふたたび歩きはじめた。
40:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:46:56.85 ID:b+Qvcd5ho
「……あそこみたいだな」
まだ少し、距離があった。ここから見るかぎり、高台にあるらしい。
あたりには民家が少ないらしく、周囲は林のようになっていて、ここからでは、どこが入り口なのかも分からない。
41:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:47:29.28 ID:b+Qvcd5ho
「そんなことより」、と、ケイくんは橋の上で立ち止まったまま、わたしの方をじっと見つめてきた。
「……なに?」
42:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:48:15.44 ID:b+Qvcd5ho
橋の上で彼と向かい合ったまま、ついこのあいだ聞いた話を頭のなかで反芻する。
望む景色を、見せてくれる。
望む景色。
43:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:49:29.18 ID:b+Qvcd5ho
◇
関係者以外立ち入り禁止、の文字があった。
わたしたちはそれを無視して敷地内に忍び込んだ。
44:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:51:30.11 ID:b+Qvcd5ho
敷地内は、思ったほど荒廃した様子ではなかった。
まずいちばん近くにあった建物は、シャッターが閉ざされていた。
建物の位置と大きさを見るに、土産物や食べ物を取り扱っていた売店か何かだったのだろう。
45:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:53:35.11 ID:b+Qvcd5ho
わたしは鞄のなかに入れてきた水筒で水分補給をした。
「そういうところは、妙に準備がいいな?」
46:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:56:32.20 ID:b+Qvcd5ho
しばらくふたりで黙り込んだまま、雨の音だけを聞いていた。
今日はなぜか沈黙が落ち着かなくて、うろうろと歩きまわっていると、不意に建物の外から物音が聞こえた。
47:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:57:09.80 ID:b+Qvcd5ho
どくん、と心臓が嫌な鳴り方をした。
人影が見えた。
「……ケイくん、あれ」
48:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:58:46.79 ID:b+Qvcd5ho
「……少し、過敏になってるんじゃないか」
ケイくんは、溜め息をついてから、拳をつくってわたしの肩を軽くトントンと二度叩いた。
49:名無しNIPPER[saga]
2016/07/06(水) 00:02:35.30 ID:Yp+yHFtyo
つづく
7-2 最初にわたしが →わたしが
>>31
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