64:名無しNIPPER[saga]
2016/07/10(日) 01:14:15.57 ID:ZjlcYbSYo
その場に残されたわたしたちふたりは、互いに顔を見合わせた。
後ろには鏡の迷路、正面には開いたままの扉と大きな鏡。
さっきまでそこにいた女の子の姿はもうない。
65:名無しNIPPER[saga]
2016/07/10(日) 01:14:45.64 ID:ZjlcYbSYo
「……おまえも見たんだよな?」
ケイくんは鏡に歩み寄りながら、そう訊ねてきた。
うん、とわたしは頷きながら、辺りの様子を見てみる。
66:名無しNIPPER[saga]
2016/07/10(日) 01:15:29.17 ID:ZjlcYbSYo
「……あのね、ケイくん。たしかに、現実的に考えたら、ありえないことかもしれないけど、
ひょっとして、わたしたち、なにか変な状況に巻き込まれてるんじゃない?」
「……変な状況?」
67:名無しNIPPER[saga]
2016/07/10(日) 01:16:21.45 ID:ZjlcYbSYo
「前、見て」
「前……?」
68:名無しNIPPER[saga]
2016/07/10(日) 01:17:24.87 ID:ZjlcYbSYo
それにしても……さっきからなんだか、現実感がない。
夢の中みたいだ。視界にうつるものをなんだか遠くに感じる。
ケイくんは背後の鏡に近付き、手のひらで触れた。
69:名無しNIPPER[saga]
2016/07/10(日) 01:17:51.77 ID:ZjlcYbSYo
「悪い夢でも見てるみたいだ」
とケイくんは言う。本当にそのとおりだとわたしは思う。
70:名無しNIPPER[saga]
2016/07/10(日) 01:18:41.74 ID:ZjlcYbSYo
わたしは黙って、ケイくんに右手を差し出した。
「……なに?」
71:名無しNIPPER[saga]
2016/07/10(日) 01:20:02.90 ID:ZjlcYbSYo
◆
そうしてふたたび意識が浮かび上がったとき、わたしとケイくんは手をつないだまま、
72:名無しNIPPER[saga]
2016/07/10(日) 01:20:32.69 ID:ZjlcYbSYo
「……ここ、どこ?」
ケイくんが思わずこぼしたようにそう呟いたけれど、もちろんわたしにも答えは浮かばなかった。
73:名無しNIPPER[saga]
2016/07/10(日) 01:21:09.32 ID:ZjlcYbSYo
「……厄介なことになったな」
「意外と落ち着いてるね、お互い」
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