793:名無しNIPPER[saga]
2017/10/24(火) 00:38:11.91 ID:IXxsBwaSo
ケイくんはずっと黙っていた。
列車が動き始める。
794:名無しNIPPER[saga]
2017/10/24(火) 00:39:34.67 ID:IXxsBwaSo
駅につくたびに、車両の中は段々と混み合ってきた。
胃袋の中身が膨れ上がっているみたいだ。
膨れ上がった魚みたいだ。
795:名無しNIPPER[saga]
2017/10/24(火) 00:40:20.72 ID:IXxsBwaSo
◇
目的の駅につくと、車両の中の人々は蛇のように流れ始めた。
やがて通路が別れると、糸がほつれるようにそれぞれに分かたれていく。
796:名無しNIPPER[saga]
2017/10/24(火) 00:40:51.99 ID:IXxsBwaSo
目的の場所に向かって、傘もなく歩いていくしかなかった。
この街で今、もっとも高い場所。三十階建てのビル、その頂の展望台。
797:名無しNIPPER[saga]
2017/10/24(火) 00:41:42.56 ID:IXxsBwaSo
中に入ると、綺麗な制服を着たふたりの女の人が受付の向こうからわたしたちのことをちらりと見た。
ケイくんは気にせずに先に進んで、展望台まで直通のエレベーターを探した。
798:名無しNIPPER[saga]
2017/10/24(火) 00:42:11.82 ID:IXxsBwaSo
エレベーターは静かに昇っていく。
街があっというまに小さくなっていく。
799:名無しNIPPER[saga]
2017/10/24(火) 00:42:38.78 ID:IXxsBwaSo
「……そっか。ケイくん、会ったんだ」
彼はもう、それ以上言葉を続けようとしない。
800:名無しNIPPER[saga]
2017/10/24(火) 00:43:04.81 ID:IXxsBwaSo
わたしたちはエレベーターに乗り込んだ。
扉はもうしまって、箱は昇り続けている。
この扉は、もう閉ざされている。
801:名無しNIPPER[saga]
2017/10/24(火) 00:43:46.42 ID:IXxsBwaSo
◆
風船は がらんどうなので、
802:名無しNIPPER[saga]
2017/10/24(火) 00:44:17.12 ID:IXxsBwaSo
◇
扉が静かに開いた。
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