過去ログ - 開かない扉の前で
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888:名無しNIPPER[saga]
2017/11/15(水) 23:53:51.13 ID:lNunJpruo

 ……必要としてくれる人がほしかった。必要としてくれる人が必要だった。

 そうじゃないと自分が存在していていいのかわからなかった。

 誰にとっても不必要な存在なら、早々に消えてしまいたかった。

 誰かに、ここにいてもいいんだと、
 僕はここにいるんだと、
 それでいいんだと、
 言ってほしかった。

 俺は間違ったのか。ほかに何かやりかたがあったのか。俺は何かを見逃したのか。
 自分のせいにするのは傲慢だと誰かが言う。どんなときでも正解を選べるなんて空想だって。
 それは事実だ。僕たちは無謬ではいられない。

 でも、そういう問題じゃない。

 どうすればよかった? どうすればいい? どうしてこんなことになってしまうんだ?

 この期に及んで自分のことばかり考えてしまう。
 
 ――碓氷くん、変わったよね。距離をおいて、測って、近付けないようにしてる。
 ――昔は違った。もっとまっすぐ、わたしと向い合ってくれた。今の碓氷くんは、何を考えてるのかわかんない。
 ――昔は……遼ちゃん、そうじゃなかった。

 過去や、犯した罪や、醜さなんて、そんなものは所詮ごまかしにすぎないのかもしれない。

 僕は単に、誰かに聞いてほしかっただけなのかもしれない。
 誰かに、そばにいてほしかったのかもしれない。




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