過去ログ - 【モバマスss】「今ならこの眼も、好きになれる気がするんです」
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1: ◆Xz5sQ/W/66[saga sage]
2016/07/10(日) 20:41:57.16 ID:m4cK6Isi0
===

 そう言って微笑んだ、この時の彼女の姿はとても魅力的なものだった。
 
 ……あぁ、いや、待った。
 
 もちろん、普段の彼女だってある意味で魅力に溢れた女性ではあるのだが、
 この時はそれに輪をかけて……と、いう意味だ。

 
 いつものように、仕事を終えた夜。
 
 以前から約束していた飲み屋での一杯の最中に、ふと彼女が口にした台詞。
 
 何を思って突然に、そんな話を振って来たのかとは思ったが、
 
「それはまた、どうして?」

 一応、尋ねてはみる。

「実はですね。最近になるまで私、自分のこの眼が嫌いだったんです。それこそ、子供の頃からずっと」

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2: ◆Xz5sQ/W/66[saga sage]
2016/07/10(日) 20:42:44.74 ID:m4cK6Isi0

 片手にグラスを持った彼女は、空いている方の手で自分の瞳を指さすと、
 
「本当に小さな頃は、そんなに気にしてはいなかったんですけどね。むしろ、周りからは羨ましがられるくらいで」

以下略



3: ◆Xz5sQ/W/66[saga sage]
2016/07/10(日) 20:43:26.99 ID:m4cK6Isi0
 
 彼女には、彼女の会話のペースというものがあるのだ。
 
 私は皿に盛られた焼き鳥の串を一本手に取ると、大人しく相手の出方を見守ることにした。
 
以下略



4: ◆Xz5sQ/W/66[saga sage]
2016/07/10(日) 20:44:15.17 ID:m4cK6Isi0

「その、さっきの話の、続きなんですけど……あっ!?」

 言いかけた彼女の顔が、突然の驚きに包まれた。
 
以下略



5: ◆Xz5sQ/W/66[saga sage]
2016/07/10(日) 20:45:03.08 ID:m4cK6Isi0
 
「そりゃあ確かにココのお店の煮つけは美味しいですよ! えぇ、美味しいですとも! 
 でもね、さっき楓さんが話そうとしてたのは、そんなことじゃあ無かったですよねっ!?」

「え、ええ! そうです、そうでした……! す、すみません。本当に美味しかったものですから」
以下略



6: ◆Xz5sQ/W/66[saga sage]
2016/07/10(日) 20:45:58.18 ID:m4cK6Isi0
 
「そ、それで……さっきの話の続きでしたっけ? 楓さんは、何を言おうとしてたんですか」

 このままではそんな彼女に見惚れてしまい、いつまでたっても話が先へ進まない。

以下略



7: ◆Xz5sQ/W/66[saga sage]
2016/07/10(日) 20:47:07.16 ID:m4cK6Isi0
 
「昔から、その、気になっちゃうんです。他人が自分のことを、一体どんな風に見てるんだろうってことが」

「……それが、さっきの話の続きですかね? えっと、その眼があまり、好きじゃなかったとかって言う」

以下略



8: ◆Xz5sQ/W/66[saga sage]
2016/07/10(日) 20:47:54.48 ID:m4cK6Isi0
 
「ん……もぅ、なんですか? そんな顔でこっちを見て。私、これでも真剣な話をしてるんですよ?」

 そんな邪な視線に気づいた彼女が、少しだけむっとした顔になって私を睨んだ。
 
以下略



9: ◆Xz5sQ/W/66[saga sage]
2016/07/10(日) 20:48:40.75 ID:m4cK6Isi0

 テーブルの上で組んだ手に顎を乗せ、どこか遠い目をする彼女を見ながら思うのは、
 それはきっと瞳のせいだけじゃあ無いのではないかという思い。
 
 今でこそアイドルとして活動している彼女だが、元々はモデルとして活躍してたのだ。
以下略



10: ◆Xz5sQ/W/66[saga sage]
2016/07/10(日) 20:49:48.80 ID:m4cK6Isi0
 
 きっと彼女のふわふわとしたあの髪も、猫と同じように気持ちの良い撫で心地なのかもしれないな
 ……などとくだらない妄想に浸っていた私の気持ちは、
 
「……ところで、プロデューサーは誰かに告白されたことはありますか?」
以下略



11: ◆Xz5sQ/W/66[saga sage]
2016/07/10(日) 20:51:03.66 ID:m4cK6Isi0
 
 けれど彼女は、なんとも意外そうな顔をして、
 
「そうだったんですか? 私はてっきり……ふふっ、ごめんなさい」

以下略



12: ◆Xz5sQ/W/66[saga sage]
2016/07/10(日) 20:52:01.60 ID:m4cK6Isi0
 
「私は……あります。告白されたこと」

 返事を聞いて「やっぱりな」なんて思う私は、まさに愚か者以外の何者でもなかった。
 
以下略



13: ◆Xz5sQ/W/66[saga sage]
2016/07/10(日) 20:53:10.09 ID:m4cK6Isi0

「そうなんです。あの、良ければ参考までに教えてもらえると嬉しいのですけれど」

 相手はアイドル、私はプロデューサー。
 
以下略



14: ◆Xz5sQ/W/66[saga sage]
2016/07/10(日) 20:54:15.23 ID:m4cK6Isi0
 
『こりゃああれだぜ? もしかして彼女、お前に満更でもないかもよ?』

 耳元で、私の中の下心が囁きかける。
 
以下略



15: ◆Xz5sQ/W/66[saga sage]
2016/07/10(日) 20:55:18.90 ID:m4cK6Isi0

 ぐらり、再び良心に傾きかけた私の心の天秤を釣り合わそうと、必死の形相で悪魔が叫ぶ。

『お、おいおいおい! 何ひよってんだおめぇ!? バカっ! 
 獲物が腹見せて転がってるっていうのによぉ! 据え膳食わねばなんとやらだぜぇっ!?』
以下略



16: ◆Xz5sQ/W/66[saga sage]
2016/07/10(日) 20:56:43.97 ID:m4cK6Isi0

 ――結局、私はこの大きな賭けに負けることはなかったが勝つこともなく。
 
 それでも予想通りその場に居たたまれなくなった私たち二人は、そそくさと会計を済ませて夜の街へと飛び出した。

以下略



17: ◆Xz5sQ/W/66[saga sage]
2016/07/10(日) 20:57:36.07 ID:m4cK6Isi0
===

「いや、本当にすいませんね。まさかああいうお願いをされるだなんて、思ってもいませんでしたから」

「いえ……私の方こそ、突然すぎましたよね。……反省してます」
以下略



18: ◆Xz5sQ/W/66[saga sage]
2016/07/10(日) 20:58:32.82 ID:m4cK6Isi0

 とはいえそれは、単に私にとってのプロデューサーとしての心構えであり、
 この場に相応しそうだったので、少しでも恰好をつけようと言ってみただけのものだったのだが。

 
以下略



19: ◆Xz5sQ/W/66[saga sage]
2016/07/10(日) 20:59:21.04 ID:m4cK6Isi0
 
「ふふっ、ありがとうございます」

 けれども、彼女は嬉しそうにそう言うと、
 
以下略



20: ◆Xz5sQ/W/66[saga sage]
2016/07/10(日) 21:00:15.34 ID:m4cK6Isi0

 少しだけ動揺する彼女の反応を見て、私は再びしまったと思ったが、
 
「猫、ネコですか……ふふっ、そうですね。
 確かに、こういう眼のことを考えたら、普通は最初に猫が出て来るかもしれません」
以下略



21: ◆Xz5sQ/W/66[saga sage]
2016/07/10(日) 21:01:34.91 ID:m4cK6Isi0

「で、でも、普通はそうなんじゃあないですかね? 
 その、褒めやすいなんて言うとアレですけど、告白の際の、わりとお決まりの台詞と言いますか」

「だったら、なおさらお断りです。そんな、決まり文句しか言えない人」
以下略



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