5: ◆naranciafLZ1[saga]
2016/07/25(月) 00:57:08.33 ID:Jp+bK6hio
戦車道チームの隊長さんは笑い皺がチャーミングな明るい人で
他の子達と比べて明らかに発育の悪い私のことも見捨てないで指導してくれた。
隊長のことを好きになるのに時間はかからなかった。
「やっぱ隊長さんは素敵よね。ほんっと憧れちゃう!」
6: ◆naranciafLZ1[saga]
2016/07/25(月) 00:58:28.58 ID:Jp+bK6hio
ノンナという子とはいつの間にか行動を共にすることが多くなった。
黒い髪をまっすぐに下ろし、雪のように白い肌は恐ろしく化粧っけがないにも関わらずシミひとつ無い。
切れ長の瞳は涼しげに開かれてすっと立った鼻梁とのバランスが絶妙である。
その上身長は一七○センチオーバーで健康的な肉付きなのだから、外見において非の打ち所がない。
私は小さいから誰からも見おろされるのだけれど、未だに見おろされるのが好きじゃない。
7: ◆naranciafLZ1[saga]
2016/07/25(月) 00:59:41.68 ID:Jp+bK6hio
「んじゃ、二人組ば作って」
「はーい」
砲撃や操縦の練習は二人組で行うことが多い。
8: ◆naranciafLZ1[saga]
2016/07/25(月) 01:01:07.88 ID:Jp+bK6hio
誰もついてこられないという意味はすぐにわかる。
「ん」
「すごい、またど真ん中!」
9: ◆naranciafLZ1[saga]
2016/07/25(月) 01:01:55.00 ID:Jp+bK6hio
「こんなとこにいたのね」
「あ、えっと」
「かっちゃんでいいわ。みんなそう呼んでる」
10: ◆naranciafLZ1[saga]
2016/07/25(月) 01:05:32.69 ID:Jp+bK6hio
「ノンナ、私はね、こんな体よ。小学生の頃から身長が伸びなくなったの。
だから体力がなくて装填手なんて絶対無理。操縦も椅子に座ったら脚が届かないわ。
ロシアの戦車が好きだからここに来たけれど戦車道っていう競技に向いてないこの体を呪いたいわよ」
「なんか、ごめん」
11: ◆naranciafLZ1[saga]
2016/07/25(月) 01:06:38.71 ID:Jp+bK6hio
「ノンナ覚えてる?」
「覚えてない」
「まだ何も言ってないわ」
12: ◆naranciafLZ1[saga]
2016/07/25(月) 01:07:53.84 ID:Jp+bK6hio
「それで、隊長さんが手を抜いているってどういう意味なの? 何か論拠があるんでしょう」
「うん、先輩たちが言ってたけど隊長さんは中学の時結構有名な選手だったらしい。
一年の時からレギュラーだったけど隊長になってから練習内容をガラッと変えたって。
プラウダは強豪と聞いていたから、私は正直ヌルいと思っている」
13: ◆naranciafLZ1[saga]
2016/07/25(月) 01:09:05.03 ID:Jp+bK6hio
「出よう」
「そうね」
ノンナに促されて店を出ると夜の空気が肌に冷たかった。
14: ◆naranciafLZ1[saga]
2016/07/25(月) 01:10:30.20 ID:Jp+bK6hio
全国大会は特に予選などもなく参加できる。
参加している学校が少ないのだ。
「なんとか試合メンバーに入れてよかったわ」
15: ◆naranciafLZ1[saga]
2016/07/25(月) 01:16:22.96 ID:Jp+bK6hio
大会は目立った番狂わせもなく進み、
プラウダ、サンダース、グロリアーナ、そして黒森峰が四強に残った。
私は試合が進む中でも戦術の勉強をし、ノンナも実践の中で砲撃技術に磨きをかけていった。
準決勝の相手は黒森峰、件の天才西住まほは一年生ながら私たちと同様選手として登録されている。
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