過去ログ - 【モバマス】私「クラスメイト、一ノ瀬志希の話」
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6: ◆TZIp3n.8lc[saga]
2016/08/08(月) 20:54:58.42 ID:mFvc4esTo

 一ノ瀬志希と初めて会話したのは翌日の昼休みのことだった。

「ねえ、給食は?」

以下略



7: ◆TZIp3n.8lc[saga]
2016/08/08(月) 20:55:25.57 ID:mFvc4esTo

「いいの?」
「うん。明日からは何か用意してきなよ。お母さんに言うとかさ」
「あたし一人暮らしなんだよねー」

以下略



8: ◆TZIp3n.8lc[saga]
2016/08/08(月) 20:55:53.20 ID:mFvc4esTo

 それを彼女に聞くと、笑いながら答えてくれた。

「だって、女子高生だよ? JKだよー?」
「私に言われても意味わかんない」
以下略



9: ◆TZIp3n.8lc[saga]
2016/08/08(月) 20:56:30.06 ID:mFvc4esTo

 一ノ瀬志希が本物だとわかったのはゴールデンウィーク前にやった実力試験の結果が帰ってきたときだった。
 それまでの授業で、彼女は基本的にノートを取っていなかった。目の前に座る私には知る由もなかったのだけど、彼女の授業態度は不真面目そのものらしかった。ノートは開くだけで、教科書もページをめくらない。というかほぼずっと寝てる。その寝顔が可愛い。とか、そんな話がメールで回ってきた。
 私は、彼女が先生に指されて正解を答えているところしか知らなかったので、なんだか意外だった。
 試験があるのにこのままでいいのかな、なんて悪口みたいなのと一緒にその話を聞いた私は、一応彼女に試験があることを伝えたりもした。
以下略



10: ◆TZIp3n.8lc[saga]
2016/08/08(月) 20:56:57.66 ID:mFvc4esTo

 私は得意科目も苦手科目もない人間だ。どの教科も平均点よりちょっとだけ上というのがいつものことだった。
 ただ、今回は全部の科目が平均点以下だった。そこそこ勉強してるし、一応受験生ということもあって去年よりは勉強時間を増やして、予備校にも通っている。それなのに、全部が平均点以下だというのはさすがに焦りを覚えた。
 やばいな、と思ってその不安を解消するために後ろの席に振り返る。人間誰しも自分より下の人間がいると安心するものだ。

以下略



11: ◆TZIp3n.8lc[saga]
2016/08/08(月) 20:57:26.46 ID:mFvc4esTo

「カンニング?」
「違うよー」
「あんた頭良かったんだ」
「ギフテッドだからねー」
以下略



12: ◆TZIp3n.8lc[saga]
2016/08/08(月) 20:57:53.15 ID:mFvc4esTo

「ちなみにアメリカではなんの研究してたの?」
「主にケミカル」

 ええと、と首を傾げる。なんだっけ、と頭の単語帳をめくるよりも早く彼女が続けていく。
以下略



13: ◆TZIp3n.8lc[saga]
2016/08/08(月) 20:58:20.30 ID:mFvc4esTo

 一ノ瀬志希は天才だけど、苦手なこともあるようだった。
 三年生になってから最初の体育の日だった。
 私たち一組の女子は二組に移動して二組の女子と一緒に着替える。新品の体育着に身を包んだ彼女が、すんすんと鼻を鳴らして体育着の匂いを嗅いでいた。

以下略



14: ◆TZIp3n.8lc[saga]
2016/08/08(月) 20:58:51.58 ID:mFvc4esTo

「あっ」

 それほど力は入っていなかったと思ったけど、振り払われた志希は後ろに二、三歩よろめくとそのまま尻もちをついてしまった。

以下略



15: ◆TZIp3n.8lc[saga]
2016/08/08(月) 20:59:21.08 ID:mFvc4esTo

 授業が始まって、整列して準備運動が始まる。志希は慣れてないのか、みんなの動きを見ながらワンテンポ遅れて身体を動かしていた。

「大丈夫?」

以下略



16: ◆TZIp3n.8lc[saga]
2016/08/08(月) 20:59:52.19 ID:mFvc4esTo

 私は速度を落として志希の隣に並んだ。立ち止まって、志希がふらふらするのに合わせて歩く。

「ちょっと休む?」
「だめかも」
以下略



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