過去ログ - 子供「ツブアンおじさーん!」 ツブアンおじさん「おう」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/16(火) 09:08:46.58 ID:VDibV/ZW0
公園


子供「へへっ!おじさん、今日も来たよ!」

ツブアンおじさん「おう、坊主。おめぇ、学校はどうした」

子供「もう夏休みだよぅ」

ツブアンおじさん「そうか、夏休みか……どうりで暑いわけだぜ」

子供「僕ねぇ、もう宿題ぜーんぶ終らせちゃったんだ!すごいでしょ!」

ツブアンおじさん「ほう、今時のガキにしちゃあやるじゃねぇか。俺ん時ぁ夏休みの宿題なんてのは、見てみぬ振りするのがお約束さ」

子供「宿題はキチンとやらないといけないんだよ?」

ツブアンおじさん「おう、そうだな……その通りさ」

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/16(火) 09:24:55.50 ID:VDibV/ZW0
子供「そんなことよりおじさん!今日こそおじさんのお話聞かせてよ!」

ツブアンおじさん「……言っただろ?俺の話が聞きたきゃタバコの1箱でもよこしてからだ」

子供「へへっ………ジャーン!」
以下略



3:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/16(火) 09:30:13.53 ID:VDibV/ZW0
ツブアンおじさん「ピース……手のひらの中の、20本きりの平和か……誰もンなもん欲しかぁねぇ……」

子供「おじさん、もういいでしょ?聞かせてよ」

ツブアンおじさん「わかったわかったよ……フゥー………さて、なにから話そうかな…」
以下略



4:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/16(火) 09:48:53.06 ID:VDibV/ZW0
ツブアンおじさん「……そうだな、坊主、あの丘が見えるか」

子供「うん」

ツブアンおじさん「今はもう取り壊されちまったが、昔あそこには小さい工場があってな」
以下略



5:名無しNIPPER[sage]
2016/08/16(火) 10:07:15.18 ID:u7ev9hOF0
期待


6:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/16(火) 10:17:08.23 ID:VDibV/ZW0
ツブアンおじさん「生まれた時の記憶は覚えてない。なんせ赤ん坊だったからな。だが、親父から聞いたところによると、俺は生まれつきこういう手だったらしい。事故とかじゃねえ。先天性ってやつだ」

子供「その手は開かないの?」

ツブアンおじさん「開かねぇな。親指がちょっと動くぐらいで、他の指は完全に手のひらとくっついちまってる」
以下略



7:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/16(火) 10:45:11.51 ID:VDibV/ZW0
ツブアンおじさん「野球選手はボールを投げてた。映画俳優は腰のホルスターからリボルバーを取り出した。アナウンサーはマイクを持ち、コメディアンは観客を指差し、ロックスターはギターを弾き、画家は絵を描いてた。だが、俺にはできねぇ。その中のどれひとっつもできやしなかった」

ツブアンおじさん「ムカついたさ。世の中にはどうにもならねえものがあるとその時悟った。神は残酷だ。いや……神などいやしなかった。俺の周りには、日ごと妄言を増していく老いた男と、月に一度そいつの上でせっせとケツを振って遺産を狙うバカな女だけだ」

子供「……………」
以下略



8:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/16(火) 10:55:56.06 ID:VDibV/ZW0
ツブアンおじさん「試合はまさに佳境といったところだった。小さな四角いリングの中で、男たちが顔中を血まみれにしながら睨み合っていた。男たちは怒りに満ちていた。目は血走り、拳はブルブルと震えている。ゴングが鳴る。一人が倒れる。一人が両手を挙げる。ゴングが鳴った直後のクロスカウンターだ。相手の顎の先をキレイに抉っていた」

ツブアンおじさん「その瞬間を俺は食い入るように見ていた。そして、悟った。俺のこの両手は、人を殴るためにあるのだと」

ツブアンおじさん「その日から俺は、裏庭の古いケヤキの木をサンドバッグにした。毎日殴った。朝に殴り、昼に殴り、夜に殴り、手は血まみれになった。でも、殴り続けた。俺の手はその為にあるんだ。それしかなかった」
以下略



9:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/16(火) 11:13:00.30 ID:VDibV/ZW0
ツブアンおじさん「13になった時、俺は中学校に行くことになった。役場の職員の児童虐待の脅し文句に、ようやく親父が折れたわけだ」

子供「よかった、おじさんも学校に行けたんだね!」

ツブアンおじさん「よくねえさ……中学も結局のところは家と変わらねぇ。クソ溜めから、違うクソ溜めへと移っただけさ」
以下略



10:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/16(火) 11:28:14.95 ID:VDibV/ZW0
子供「大変……!」

ツブアンおじさん「毎日襲われた。ある時は教室で。ある時は体育館裏で。ある時は帰り道で。毎日襲われた。だが、俺はその度に殴った、殴り返してやった。ボコボコにしてやった」

ツブアンおじさん「連中も懲りねぇ奴等だ。そんなことをしていると、別の学校の奴等も呼びやがった。それを殴り返してはまた別の学校の奴等を。それの繰り返しだ」
以下略



11:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/16(火) 11:49:08.46 ID:VDibV/ZW0
子供「そっか……」

ツブアンおじさん「そうさ……火ぃ、つけてくれ。昔話をすると、ペースが速くなる」

子供「ん………その後はどうなったの?」
以下略



12:名無しNIPPER[sage]
2016/08/16(火) 12:03:52.97 ID:XsyrrsTEO
粒餡は手抜き
漉餡こそ至高


13:名無しNIPPER[sage]
2016/08/16(火) 12:07:55.90 ID:gPz3lrPKo
つぶあんできないなりそこないがこしあんなんだってねぇ?


14:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/16(火) 12:10:54.52 ID:VDibV/ZW0
ツブアンおじさん「爆発は噴水のあたりで起こった。逃げ惑う群集の中、俺は黒く立ち上る煙の方へと駆け出した。なんでだろうな、何故だかその煙に惹かれるように走り出してたんだ。そこで俺は聞いた。ハヒフヘホー、と叫ぶ声を。そこで俺は見た。爆炎の中で高笑いをするヤツの姿を。俺とヤツとの出会いだ」

子供「…………」

ツブアンおじさん「ヤツと目が合った。どちらも動かない、動けない……そんな中、軍車両のサイレンが聞こえてきた。それを聞くや否や、ヤツは一目散に爆炎の中へと姿を消した……」
以下略



15:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/16(火) 12:12:51.86 ID:VDibV/ZW0
今日はここまでにしますー


16:名無しNIPPER[sage]
2016/08/16(火) 12:15:12.64 ID:gPz3lrPKo
おつ


17:名無しNIPPER[sage]
2016/08/16(火) 12:30:20.18 ID:imkE5OMAO
名作に連なってくれる事を期待する



18:名無しNIPPER[sage]
2016/08/16(火) 12:44:00.86 ID:a4e9D/NI0
いいね期待


19:名無しNIPPER[sage]
2016/08/16(火) 13:52:49.98 ID:+KdcsQVYO
>>13
そうそう
昔の高級品だった餡子を食べていたのが西の人、作った餡子を全部西に取られて残りカスを漉して食べてたのが東の人


20:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/17(水) 10:26:18.06 ID:tt2ZQKAy0
ツブアンおじさん「俺は動かなかった。ヤツが消えていった先から目が離せなかった。何故かはわからねぇ、とにかく目が離せなかった。そのうち、軍が駆けつけてきた。俺は軍に連行された」

子供「えっ、どうして!?」

ツブアンおじさん「現場に居たからな。俺がやったんだと思ったんだ。間違えられて当然さ」
以下略



21:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/17(水) 10:38:09.72 ID:tt2ZQKAy0
ツブアンおじさん「親父は俺に色々聞きたかったみたいだが、俺は早々にベッドに潜り込んだ。頭にはヤツのことだけが浮かんだ………っと、悪ぃな、ションベンしてくる」

子供「あ、うん……」

ツブアンおじさん「暑くてたまらねぇや……」
以下略



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