24: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:46:53.13 ID:7ab73rSh0
豚は部署の週間ミーティングを終えたところだった。
会議室の前で待ち伏せし、現れた豚は、私の顔を見ると驚きの表情を浮かべた。
「何よ、豚」
25: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:48:12.97 ID:7ab73rSh0
「た、確かにそうなんですけど、あの、ただ疑問に思っただけなんです、あれは。どうして時子様が向井さんの言われるがままになってるのか」
あぁ、あの女、向井っていうのね。
「質問なら、まぁ答えてやるわ。あの女が面倒になっただけよ」
26: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:49:44.36 ID:7ab73rSh0
「妥協しない? 私が? そう信じてるの、貴方?」
「え、いや、信じてるというか、そうですよね。……あの、あれ、時子様?」
信じている。こいつは信じている。
27: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:51:08.58 ID:7ab73rSh0
「アーッハッハッハ!」
「ええっ!? と、時子様? 突然笑い出してどうされたんですか!?」
不安げに、豚が言葉を発す。
28: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:52:54.07 ID:7ab73rSh0
先日のオーディションの結果、私は件の映画でサブヒロインを演じることとなった。
メインヒロインは例の高垣というアイドル。
忌々しいけれど、あの女の方が、ヒロインの役柄に合ってたってだけね。そういうことなら譲ってやるわ。
「時子様っ! 今日は頑張ってくださいねっ!」
29: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:54:55.33 ID:7ab73rSh0
――あぁ、なんて考えていたら、あんなところに。
通路の先を行く、アイドルにしては大柄な背中。
それに、この私から声をかけてやった。まったく、光栄に思ってほしいものね。
「貴女、向井拓海だったかしら?」
30: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:56:58.16 ID:7ab73rSh0
ねえ、豚?
こうやって、相手を挑発して、とことん殴り合って、そうしてどこまでも勝ち進んでゆくのが、財前時子なんでしょう?
そう貴方は信じているのよね。
女王様の私しか認めないなんて、傲慢な豚だわ。
31: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/04(火) 23:58:26.25 ID:7ab73rSh0
小汚い歓声が私を包む。
今日はあくまで事務所全体のライブイベントだから、私のファンじゃない連中も客席には混じっているでしょうね。
まあそんなもの、関係ないけれど。
ステージの上から、客席の豚共を見下ろす光景は、なかなか気持ちが良い。
32: ◆9HQtX1uR2o[saga]
2016/10/05(水) 00:02:54.44 ID:nmltoljP0
おわりです。
初投稿でした。
読んでくれてた方、いるのでしょうか。
もしいたなら、ありがとうございました。
33:名無しNIPPER[sage]
2016/10/05(水) 00:03:58.79 ID:DizZpz1pO
乙
いいね、ゾクゾクした
34:名無しNIPPER[sage]
2016/10/05(水) 00:09:03.98 ID:C4XXdbzAO
>>30のくだり特に良かった
乙乙
40Res/29.48 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。