過去ログ - なずな「打ち上げ花火の君へ」
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8: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:30:17.44 ID:KohKIjyCO
なずな「あっ……」

乃莉「?」


以下略



9: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:32:40.01 ID:KohKIjyCO
電車に乗って1駅戻り、帰り道とは逆の出口から駅を出る。
目的の雑貨屋さんの窓辺には色とりどりのマグカップが並べられているのが見えて、
それを見て立ち止まりそうになった私の手を引いて、乃莉ちゃんがお店の扉を開けた。

店内はまるで別世界のようだった。空気までお洒落に感じるのは、何かいい香りのものがあるからなのかな。
以下略



10: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:33:47.42 ID:KohKIjyCO
乃莉「なずな、やっぱそれ気に入ったの?」


乃莉ちゃんが最初に取ったカップと、色違いで模様が金色のカップを両手に持った私に、乃莉ちゃんが話しかけてきた。

以下略



11: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:34:17.38 ID:KohKIjyCO
乃莉「2つはいらないもんね」

なずな「うーん……」

乃莉「え、もしかして両方買うの?」
以下略



12: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:36:18.54 ID:KohKIjyCO
ぽこぽことお湯が沸騰する音に気づいて、はっと現実に引き戻された。
カップを買ってからもうだいぶ経つし、乃莉ちゃんと2人で使ったことだって何度もある。
それなのに、どうして今日はこんなことを思い出したんだろう?
ティーバッグに沸かしたてのお湯を注ぐと、紅茶のいい香りが辺りに漂いはじめた。

以下略



13: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:38:20.47 ID:KohKIjyCO
乃莉「でさ、花火大会の話なんだけど」

なずな「そういえばそうだったね、花火大会ってもうすぐなんだっけ?」

乃莉「今日」
以下略



14: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:44:41.77 ID:KohKIjyCO
花火のスポットかあ。
乃莉ちゃん、友達と約束してたりするのかな。
そんなふうに考えながら、前に行ったときのことを思い出して答える。


以下略



15: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:47:14.12 ID:KohKIjyCO
乃莉「なずな、今日これからヒマ?」


どきん、と胸が鳴るのを感じた。

以下略



16: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:48:00.08 ID:KohKIjyCO
乃莉「なずな、なんか嬉しそう」

なずな「そうかなあ?」


以下略



17: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 18:49:14.51 ID:KohKIjyCO
……そっか。どうして今頃になって、カップを買ったときのことを思い出したのか分かった。
話したいことがいつだってうまく言えない私に、いつだって乃莉ちゃんは真っすぐな言葉をくれる。
今日も、あの日も。そんな乃莉ちゃんに私は手を引かれてばっかりだ。


以下略



18: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 19:37:47.71 ID:KohKIjyCO
日が暮れ始めた頃、私たちはひだまり荘を出た。
てくてく歩いて、花火の見える場所を目指す。花火大会の会場に近づくにつれて浴衣を着た人も目に付くようになった。
ともり始めた街灯が色とりどりの浴衣を照らして、だんだんと街が華やいでいく。


以下略



19: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 19:38:52.01 ID:KohKIjyCO
なずな「浴衣来てる人、多いね」

乃莉「うん。ねえ、なずなって、浴衣持ってる?」

なずな「浴衣……は持ってないなあ。乃莉ちゃんは?」
以下略



20: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 19:39:50.92 ID:KohKIjyCO
なずな「あ、確かここを上がってくんだけど」

乃莉「……結構登るね」

なずな「うん……」
以下略



21: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 19:41:22.47 ID:KohKIjyCO
空を見上げると、満月が静かに銀色の光を放っていた。
乃莉ちゃんが携帯を出して調べものを始めた。私もその画面を横からのぞき込む。
そのとき、空が光るのを感じた。はっとして上を見上げると、今度はドンという音が響いた。


以下略



22: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 19:44:28.31 ID:KohKIjyCO
大きな花火が何発か続けて上がった。だんだんとクライマックスに近づいているのかもしれない。
ひゅるひゅると花火が高く打ち上がる音がするなか、唐突に乃莉ちゃんが「あっ」と小さく声を漏らした。
私がそっちを向くと、花火の光が乃莉ちゃんの横顔を赤く照らした。


以下略



23: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 19:45:04.54 ID:KohKIjyCO
乃莉「全然綺麗に見えないでしょ?」

なずな「やっぱり花火の写真って、難しいのかな」

乃莉「そうみたい、設定いじれば上手く撮れるのかもしれないけど……」
以下略



24: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 19:47:06.03 ID:KohKIjyCO
乃莉「なずなと一緒に見てるから、こんなに綺麗に見えるのかな」


ひときわ大きな花火が夜空いっぱいに広がった。少し遅れて、花火のはじける音が私の体を揺らす。
思わず息をのむほどの衝撃を全身に受けながら、それでも私の心を揺さぶるのは、乃莉ちゃんの言葉のほうだった。
以下略



25: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2016/10/12(水) 19:47:42.06 ID:KohKIjyCO
乃莉「……あ、もう終わりかな?」

乃莉「なずな、来年はさ……」


以下略



26:名無しNIPPER[sage]
2016/10/12(水) 21:32:36.35 ID:DQwXqdWa0
よい


27:名無しNIPPER
2016/10/14(金) 15:59:08.75 ID:GHremi16O
素晴らしいの一言に尽きる


28: ◆K27FRRVqmQ[sage]
2016/10/14(金) 20:45:17.68 ID:v/vb2/8JO
続編
乃莉「線香花火の君へ」(ex14.vip2ch.com


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