過去ログ - P「君よ不幸せであれ」
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2: ◆CfShMv7DuQ[sage]
2016/10/13(木) 00:31:12.02 ID:tOco4t+c0
仕事で外回りをしていると、ふと街中の大型ビジョンが目に入った。
ビジョンに映る映像には今、人気急上昇中の346プロダクションに所属するアイドル達のPVが流れている。

その中に少し控えめな、しかし何処か見るものを惹きつけるような笑顔を振りまいている一人の少女、白菊ほたるの姿を見つけた時
俺はその姿を自分の中に存在している白菊ほたるというアイドルと比較し、卑しくもこう思うんだ。
以下略



3: ◆CfShMv7DuQ[sage]
2016/10/13(木) 00:32:12.38 ID:tOco4t+c0

俺とほたるは元々プロデューサーと担当アイドルという関係だった。
俺が勤めていた事務所のオーディションをほたるが受験した際、何故こんなダイヤの原石のような子がフリーな立場なのか、そう疑問に思える程トップアイドルになり得る素質を抱えた子だと、俺は衝撃を受けたのだ。
確かにダンスや歌はまだまだ未熟だったが持ち前のストイックさに加え、どこか冷めたような目の中にもトップアイドルになりたい!という強い意志を感じた俺は社長に直談判し、無事白菊ほたるの担当プロデューサーになることに成功した。
後日、顔合わせの時の会話は今でもハッキリと覚えている。
以下略



4: ◆CfShMv7DuQ[sage]
2016/10/13(木) 00:33:07.78 ID:tOco4t+c0
が、その予想は外れたらしくほたるは悲しげな顔をしながら


ほたる「いえ、あの・・・実は私は昔から不幸な体質で・・・前の事務所もその前の事務所も私の不幸のせいで倒産してしまったんです・・・。」

以下略



5: ◆CfShMv7DuQ[sage]
2016/10/13(木) 00:33:53.53 ID:tOco4t+c0


今思い返せばこの時からもう俺たちの歯車は狂っていたのかもしれない




6: ◆CfShMv7DuQ[sage]
2016/10/13(木) 00:34:45.51 ID:tOco4t+c0

ほたるをスカウトしてから一ヶ月が過ぎた頃。この頃の俺はほたるには確かにトップアイドルになれる素質があると確信すると同時にこの少女は確かに人と比べて少し、いや大分不幸なようだと認識するようになっていた。
ダンスレッスンをすれば靴紐は切れる。社用車に乗ればバッテリーがあがる。営業に出かける時は渋滞が当たり前。
これらが一度や二度ではなく毎回の様に起こるとなれば流石に認めざるを得なかった。
そしてそんなことが起こる度にほたるは俺やスタッフに向けて
以下略



7: ◆CfShMv7DuQ[sage]
2016/10/13(木) 00:36:03.48 ID:tOco4t+c0
その顔を見た俺は慌てて


P「すまんすまん。別に悪い意味で言ったわけじゃないんだ。ただなんというか・・・とにかく、俺はほたるを見てると笑顔になれるんだ。」

以下略



8: ◆CfShMv7DuQ[sage]
2016/10/13(木) 00:37:04.52 ID:tOco4t+c0


この頃の俺はほたるをあらゆる不幸から守ってトップアイドルに導けると本気で思っていた。いや、今もか。




9: ◆CfShMv7DuQ[sage]
2016/10/13(木) 00:38:14.62 ID:tOco4t+c0

異変が起き始めたのはその後すぐのことだった。

始まりは何時もの様に俺のデスクの近くで二人で談笑している時。突然後ろの書庫の扉が開き大量の分厚く、厚いファイルや本がほたるに向かって降り注いだ。

以下略



10: ◆CfShMv7DuQ[sage]
2016/10/13(木) 00:39:28.86 ID:tOco4t+c0
外を歩いていたらいきなり植木鉢が降ってくることもあった。帰宅途中に後ろから追突されムチウチになったこともあった。
そして俺が不幸な目に遭い、傷つく頻度に比例してほたるの笑顔は曇っていった。だが俺は、それが自分のせいだとも気付かず仕事に没頭していたんだ。


ほたる「プロデューサーさん、少し休んだほうが・・・」
以下略



11: ◆CfShMv7DuQ[sage]
2016/10/13(木) 00:40:09.69 ID:tOco4t+c0


何も分かってない。この時の俺は何も分かっていなかったんだ。自分の行動がどれだけほたるを傷つけているのかも知らず、呑気なことを言っていた過去の自分を思い出すと今でもやるせなさと激しい怒りを覚える。




12: ◆CfShMv7DuQ[sage]
2016/10/13(木) 00:41:18.33 ID:tOco4t+c0
LIVE前日、俺はほたると一緒に会場へ行き下見をしていた。
小さなステージだったがアイドル白菊ほたるの記念すべき初LIVEのステージだ。

俺は翌日ここで輝くであろうほたるの姿を思い浮かべて胸が高鳴っていたし、それはほたるも同様だった。
人一倍アイドルへの思いが強いうえにここまでの道のりは決して楽な道のりではなく、13歳とは思えない程の苦難を味わってきたのだ。
以下略



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