過去ログ - サンチョ「坊つちやん」
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27:名無しNIPPER[sage]
2016/10/22(土) 15:41:03.30 ID:3aDYQ47eO
懐かしく読んでいたがDS版か


28:名無しNIPPER[sage]
2016/10/22(土) 16:30:18.06 ID:2gL8l+Aro
これは期待


29: ◆HACkWQpQbk[saga]
2016/10/22(土) 16:55:56.17 ID:1dmR7XxL0
 例の港を出て北に上ると、サンタローズという田舎の村にたどり着いた。
 二年前に父が幼い子供を連れて旅に出たはじまりの地らしいが、何分物心のつく頃には旅をしていたからこの村の記憶はほとんどない。
 故郷であるはずのサンタローズも凡百の町村の如く私の目に映えた。
 村の入り口に立つと槍を持った番兵が物々しい様子で我々を検問してきた。当初は番兵らしく横柄な態度で我々を睨めつけていたが、父の正体を見破るとさっと顔色を変えてパパスさんじゃないですか、帰ってきてらしたんですかとやに下に出る。
 父はそんな態度の変わりようには毫も気にかけていないらしく、村の者に知らせよとただ豪胆である。
以下略



30: ◆HACkWQpQbk[saga]
2016/10/22(土) 16:56:45.17 ID:1dmR7XxL0
 父に連れられて村の中を巡ると住人の皆が皆パパスさん、おかえりなさい、パパスさん、おかえりなさいと英雄の凱旋の如く騒いでいる。
 殊に教会のシスターの至っては当初は聖職者らしく荘厳な挨拶を述べていたが、最後にわーいわーいと子供みたようなはしゃぎ方をするには驚いた。
 知らない人間に歓迎されるのは少々薄気味悪かったが、普段尊敬している父の待遇が良いのは非常にいい心持ちがした。
 やがて村の中で一番大きな屋敷に着くと玄関口でやたらと恰幅の良い男が立っている。
 男は周りの者と違い父を旦那様と呼んでいたのでどうやら召使の類らしい。
以下略



31: ◆HACkWQpQbk[saga]
2016/10/22(土) 16:57:39.90 ID:1dmR7XxL0
 屋敷に入ればやはり恰幅の良い細君らしき女が待ち受けていた。
 似たもの夫婦だと思えば父がやあ、隣町のダンカンのおかみさんじゃないかと懐かしむ。
 どうも別の男の妻らしい。勘違いも甚だしいが似ているのだから仕方がない。
 父は父でそのおかみとサンチョとで大人の話をし始めた。この国の大人は子供を置いて話をしなければならないと言う法にでも従っているのだろうか。
 必定暇になった私が玄関口で仏頂面を浮かべているとダンカンの細君が上に娘がいるから、上がって子供同士で遊んでおいでと云った。
以下略



32: ◆HACkWQpQbk[saga]
2016/10/22(土) 16:58:07.28 ID:1dmR7XxL0
 はたして階上に上がってみれば、金髪を左右のテエルで分けた気の強そうな女子が待ち受けていた。
 顔を見合わすなり相変わらずお父さんに似ずひ弱そうだわねとご挨拶である。
 ビアンカと名乗った少女が私のことを覚えてるかしらと尋ねるので首を横に振ればそうよね、あなたは小さかったものねと久しぶりに会う親族みたようなことを云いだす。
 その上私の方が二歳年上なのよと前後の繋がらない自慢をしてきた。
 年上なことがそんなに偉いかと反駁したら年下のくせに生意気よとやはり話が通じぬ。
以下略



33: ◆HACkWQpQbk[saga]
2016/10/22(土) 16:58:34.75 ID:1dmR7XxL0
 仕方がないから絵本でも読んで過ごすかと本棚に向かえばお姉さんが読んであげると先回りをされた。
 どうしても自分がお姉さんであることを示したいと見える。
 父の他に頼りになる人物が増えるかと期待していたが、自分で読んであげるなどと息巻いていた本を禄に解読できずに難しいわねと云って抛り投げるのには閉口した。
 本に興味をなくした彼女はやっぱりお話ししましょうよと大人のようなことを云う。
 口下手な自分はうん。とまあ。の二つで会話を形成していたがむしろ喋りすぎなくらいの彼女の語り口にはそれが適当だったと見え、しばらくする頃には我々は意気投合していた。
以下略



34: ◆HACkWQpQbk[saga]
2016/10/22(土) 16:59:22.39 ID:1dmR7XxL0
 聞けば彼女らは主人の風邪を治す薬を取りにこの村に来たらしい。
 それもさっさと買って帰るはずだったのが、それを売る商人がしばらく見えないので足止めを食っているという。すこぶる暇そうで気の毒だ。
 可哀想なので相手をしようかと思っていると、階下で私を呼ぶ声がする。
 父に呼ばれてみれば私は少し出かけるから家でおとなしくしていなさいとの事だった。
 いってらっしゃいと見送って階段に足をかけると、挙動不審にあたりを見渡す父の姿が窓から窺えた。
以下略



35: ◆HACkWQpQbk[saga]
2016/10/22(土) 17:00:20.76 ID:1dmR7XxL0
 外に出て父の行方を窺ってみると非常な速力で歩いていくから魂消た。
 普段彼と歩いている身からしてみればいつも自分に歩調を合わせてくれていたのかと改めて彼の思いやりに胸を暖かくせざるを得ない。
 動向を見守っていると彼は村を流れる川の上流にある洞窟へと姿を消した。
 どんな用事でそこに入っていったのか知れぬが、人目を憚るようなことはして欲しくないものだ。
 ともあれここまで来たからには最後まで尾けなければ示しがつかない。勇気を振り絞って洞窟へ向かうことにした。
以下略



36: ◆HACkWQpQbk[saga]
2016/10/22(土) 17:01:08.21 ID:1dmR7XxL0
 中には案の定魔物がいて、戦闘を強要された。
 もっとも蝉や土竜や兎といった野生動物の変化したものの類で恐るるに足りない。
 奥へと進むと洞窟ではついぞ現れなかった弱小の代名詞であるスライムが出てきた。
 これまでの戦闘で場慣れした私は今が雪辱を晴らす好機と武器を振りかぶると突然スライムが人の言葉で助けを乞うた。
 それもぼくわるいスライムじゃないよ。だからやめてと云いながら必死にぷるぷるしている。
以下略



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