過去ログ - 小梅「ありがとうを物語にのせて」
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8: ◆REViNqJsY2
2016/11/27(日) 15:13:52.77 ID:Uojde39To
「……ご、ごめん、なさい……」
気づけば、呟きが漏れていた。きらりさんが首を傾げるのが気配でわかる。私が喋る度に、小さく動きが止まるのも。その原因は、きっと私。ぽろぽろと取り留めもなく、涙みたいに言葉がこぼれ出していく。振り続ける雨の音が、身体を打ち付けるように響いていく。
「その、私……きらりさんのこと怖がらせちゃって、怖いお話、いっぱいして……きらりさんの気持ち、考えないで……」
9: ◆REViNqJsY2
2016/11/27(日) 15:14:35.74 ID:Uojde39To
後ろに急に引っ張られ、ぎゅっと軽く抱きしめられた。服越しに伝わる体温と、微かに聞こえる心臓の鼓動。私の髪をゆっくりと撫でながら、「あのね、小梅ちゃん」と優しい声をかけてくれる。
「きらりね、一度も小梅ちゃんのお話、嫌だって思ったことないよ?」
私の気持ちに応じるように震える喉から、そんなはずない、とよれよれの声を絞り出す。助けてもらっているのに。そんな思いが胸いっぱいに詰まって、肺を押しつぶす。
10: ◆REViNqJsY2
2016/11/27(日) 15:15:05.72 ID:Uojde39To
少し迷ってから、胴にゆったりと回されたきらりさんの手に、私はそっと自分の手をかさねる。芯から伝わる温もりに背を押されるようにして、私は強ばった口を開く。
「……き、きらり、さん」
喉にはまだ少し怯えが残っていて、いつも以上につっかえながら喋る。なぁに、と聞き返すきらりさん。それに合わせ、その大きな体に支えられながら言葉を探す。
11: ◆REViNqJsY2
2016/11/27(日) 15:16:12.05 ID:Uojde39To
「さ、最初はよく知らなくて、びっくりしたけど……女の子は、その人がとってもいい人だってすぐ気が付いて、好きになったんだ……」
とくん、とくん。私の鼓動ときらりさんの鼓動が重なって、心地よいリズムを産む。雨の音は、もう聞こえない。
「その人はね、すごく頼りになって、いつでも優しくて……」
12: ◆REViNqJsY2
2016/11/27(日) 15:16:40.20 ID:Uojde39To
雨上がりの澄んだ空では、雲の合間から星がきらきら瞬いていて。その下を、私たちは進んでいった。
お互いの温度を確かめるように、繋いだ手は離さないまま。
13: ◆REViNqJsY2
2016/11/27(日) 15:18:41.86 ID:Uojde39To
おしまい
きらりと小梅ってわりと対照的で相性いい組み合わせだなーとか思いながら書いてました
読んで下さった方ありがとうございます
14:名無しNIPPER[sage]
2016/11/28(月) 05:08:29.42 ID:W/2QpwmEo
よく分からん
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