33:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 18:54:23.07 ID:WwkYnpYs0
東京の夜、と言えばギンギンギラギラ輝くネオンの光。
道路を颯爽と走る高級車。
道ゆくは世界の最先端をゆくビジネスマン、
振り向けば誰もが知る芸能人……
34:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 18:55:34.93 ID:WwkYnpYs0
りっちゃんの部屋は五階建アパートの三階角部屋。
玄関口で出迎えてくれたのは赤べこの張り子人形。
リビングに入ると、部屋の隅にいくつか積み上げられた空き缶が目に入る。
ソファの上にはファッション誌や音楽誌が数冊。最近出たばかりの新刊のマンガ本も。
35:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 18:56:12.89 ID:WwkYnpYs0
「あ」
「ん、どしたー」
「やばい…充電器忘れたっぽい」
36:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 18:56:55.00 ID:WwkYnpYs0
満足に足を伸ばせないちいさな湯船。死体みたいに足を折り曲げて浸かり、汗と脂を洗い流す。
いつもと違うシャンプーを使うと、髪がキシキシ言って調子が悪いけれど、ゼイタクは言えない。まぁいいか。
髪を乾かしてリビングに戻ると、りっちゃんはソファの上に猫のようにまるまっていびきをかいていた。ゆさゆさと揺すって呼びかけても起きる様子がない。
今日も仕事だったみたいだし、随分と疲れていたんだ。
37:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 18:58:06.68 ID:WwkYnpYs0
勝手なこととは思いつつ、わたしはリビングを出て寝室の扉を開けた。
夏用の毛布かブランケットくらいあるだろうと、灯をつけて室内を見渡し、一二歩踏み出したところでわたしは足を止めた。机の上、閉じられたノートパソコンの横に飾られた写真立て。
わたしはきゅっと口を結び、視線をそっちに向けないようにしながらベッドの上にくしゃくしゃっと捨て置かれたブランケットを手に取り、早々に灯を消して部屋を出た。
気持ちよさそうに眠るりっちゃんにブランケットをかけてあげると、ライターと灰皿を手に取り、リビングの灯を消してベランダに出た。
38:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 18:59:29.59 ID:WwkYnpYs0
39:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 19:00:51.78 ID:WwkYnpYs0
『りっちゃん、ねむい?』
『いんや。まだまだいけるぜ』
『さっすがりっちゃんだね。じゃあもうちょっと飲む?』
40:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 19:01:34.07 ID:WwkYnpYs0
走り続けてすっかり息の切れたわたし達は、大の字になって道路に寝転んだ。
360℃見渡す限りの星空。どれが何座?なーんて全く知識はないけれど、そんなことお構いなしに圧倒されるその迫力。
普段は人工の光に隠されて見えない星達も、本当はこんなにたくさん存在してるんだ。
いまのうちに存分に記憶に焼き付けておこう。
あ〜、きっと天文に詳しかったらもっと感動したんだろうなぁ〜、もっと勉強しときゃよかった。
41:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 19:02:10.03 ID:WwkYnpYs0
『………ところでさ。唯、流れ星、って見たことある?』
りっちゃんがぼそっと、わたしに尋ねた。
『んーん。ない』
42:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 19:02:48.78 ID:WwkYnpYs0
『あっ、流れた』
『ええっ! どこどこ!?』
『あそこらへん。もう流れちゃった』
43:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/27(日) 19:03:50.00 ID:WwkYnpYs0
わたし達の中で一番はじめに彼氏ができたのは…何を隠そうこのわたしだ。
でも一番はじめに失恋したのもわたしだった。
男の子ってわかんない。
付き合ってくれ、って向こうから言ってきたから、まぁいっか別にキライじゃないし、仕方なしOKすると飛び上がるくらい喜ぶくせに、
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