過去ログ - 茜「文香ちゃんの素朴な疑問」
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18:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 19:36:54.58 ID:YiqUyrv20
 鷺沢文香からの今一度の問い掛けに対しても、日野茜はあくまで強気に答えてみせる。
 その表情は恥じらいを隠すかのようにぎこちなく、しかしそれは同時に、彼女の覚悟の大きさをも示していた。

 対人経験の豊富でない鷺沢文香も、目の前の彼女が乙女としての羞恥を必死で堪えて引き受けてくれたことを感じ取り、理解した。
 だからこそ、胸の内からは自然と、感謝の言葉が浮かび上がってきた。
以下略



19:名無しNIPPER
2017/01/01(日) 19:54:44.40 ID:flOZjWeVO
大晦日と新年にかけてこんなSS書くなんて……

遅れて来たサンタさんかな


20:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 21:06:21.12 ID:YiqUyrv20
「い、いえいえっ、文香ちゃんは同じアイドルの、大切な仲間ですから!! 仲間のためならこれくらい、何てことないですよ!!!」

 日野茜は、笑顔でそう言い切ってみせる。
 そこまで感謝される程のことではない、と。
 ――恥じらいの窺える、ぎこちない、強張った笑顔。
以下略



21:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 21:11:38.97 ID:YiqUyrv20
「……」

「……」

 二人は照れの混じった笑みを投げ合い、しばしの間、見つめ合う。 
以下略



22:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 21:15:50.97 ID:YiqUyrv20
「え、えと、はっ、恥ずかしいので!! その、ゆっくり、ゆっくりでお願いします!!」

 先程よりも顔を一層真っ赤に染め上げながら、日野茜はせめてと心の準備期間を求める。
 それが拒絶の言葉などではなかったことに鷺沢文香は安堵し、そして、優しく頷いた。

以下略



23:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 21:19:42.20 ID:YiqUyrv20
「……っ!!」

 鷺沢文香の両手が肩に触れた瞬間、日野茜の身体がビクっと、緊張で震えた。
 顔の赤らみは増し、力の入った眉は絵に描いたかの様に八の字を形作っている。

以下略



24:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 21:24:08.67 ID:YiqUyrv20
「それでは、茜さん。……失礼、します」
「――っ!! は、はいっ……」

 果たして鷺沢文香は、行為に踏み切った。
 互いの頬同士を触れ合わせる様な形で、日野茜に顔を近付ける。
以下略



25:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 21:34:43.32 ID:YiqUyrv20
 そんな日野茜の緊張は、勿論鷺沢文香にも伝わっていた。
 もし逆の立場だったならと考えると、やはり近い内にお返しをしなくてはならないと思わせられた。

 しかし行為の最中、鷺沢文香の『知』は、そんな理性を置き去りにしていた。
 日野茜の匂いを嗅いだ彼女の意識は、深く、夢中の底へと沈み込んでいた。
以下略



26:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 21:38:14.01 ID:YiqUyrv20
 ――ああ、自分の中にもあったのだと、鷺沢文香はふと思い至って、満たされた気持ちになる。
 自分の中に眠っていた、歓びの欠片。
 輝く碧を見つけた時の様な、爽やかな、幸せを感じる、あの匂い。
 知っていたことに気付けていなかったのだと、今やっと、気付くことができた。

以下略



27:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 21:43:50.27 ID:YiqUyrv20
 そして、そこまで思考が巡った後に、彼女の意識はようやく理性の下へと戻ってくる。
 気が付けば、緊張の極致にある日野茜が、まるで解放の時を待つかの様に服の裾を握りしめていた。
 
「……」

以下略



28:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 22:10:08.53 ID:YiqUyrv20

 突然の抱擁に、日野茜も驚きから思わず目を見開き、掴んでいた鷺沢文香の服の裾を手放す。

「!!? えっ、あ、あのっ、文香ちゃん……!?」

以下略



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