過去ログ - 終わらない物語が嫌いな僕と余命が短い女の子の話
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/08(日) 22:48:32.10 ID:O1Z9DSgO0
お祈りをしたあと、僕らは神社で売っていたお守りを買った。お守りなんて買うのは大学受験以来だが、健康を祈るお守りは持っていて損はしないだろう。
彼女はお守りを買うときに、「ちょ、ちょっとあっちを向いててください」と僕に言った。何を買ったのかは知らないけど、どうか彼女に神の加護があるといいなと思った。
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/08(日) 22:49:22.31 ID:O1Z9DSgO0
神社をあとにしながら、てくてくと彼女と歩いた。
「神社なんて久しぶりに来たよ」
「私もです。空気が、とても美味しかったですね」
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/08(日) 22:55:30.26 ID:O1Z9DSgO0
「今日も、面白いことが日記に書けそうです。」
彼女は日記を書いているのか。今まで一言も言わなかったから知らなかった。
「日記書いてるんだ」
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 01:20:33.47 ID:yOhGu/Zb0
普段どうってことなく見過ごす風景も、彼女がいれば楽しくなるもので。小さな雑貨屋や隠れ家的な雰囲気のあるカフェ、はたまたくたびれたバッティングセンターなど、彼女はたくさんのものを発見した。
普段病室にいる分、何もかもが新鮮に見えるのだろう。知らないからこそ、人より多くのことを発見できるのはいいことだと思った。
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 01:23:54.67 ID:yOhGu/Zb0
さっきまでの彼女は、服屋へ寄っても売られている服を自分に合わせて僕にみせるだけで、試着しようとはしなかった。けれども今は店員さんと話しながら試着室へ向かっている。
男一人が女性向けの服屋で待機するのは少し気恥ずかしさがあったが、スマホを適当にいじって時間をつぶすことにした。
それから少しして彼女が試着室から出てきた。彼女は秋らしい色のワンピースに身を包んで、
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 01:27:53.62 ID:yOhGu/Zb0
「僕が買うよ」と店員さんを呼ぶ。少し強引にいかないと彼女は買う事すらやめてしまいそうだったから。
会計を済まし、新しい服を着た彼女はきまりが悪そうだった。
「あのお店、昨日も見つけたんです。ショーウィンドウに並んでいた服が可愛くて。値段をちらって見て諦めたんです。だけどここにもあったから、つい未練がましく見ちゃって・・・」
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 14:01:43.13 ID:yOhGu/Zb0
ショッピングモールからバスで帰宅し、家に着いたのは夕方頃だった。行きの時点で結構長い距離を歩いていたので、帰りもその長い道(しかも上り)を歩くことは厳しいと思ったからだ。
家に着いてから、彼女は鏡の前で自分の姿を機嫌良く見ていた。今まで見た彼女の姿の中で最も幸せそうだった。
「えへへ、ありがとうございました。まだ、お礼言ってなかったから」と満面の笑みで言われた。
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 14:08:54.23 ID:yOhGu/Zb0
病院ではさすがに病衣だろう、などと思いながら、彼女の様子を眺めていた。
そういえば、と思い出し彼女に、
「父さん、今日遅くなりそうって連絡来てたから、今日は二人でご飯食べようか」と伝えた。
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 14:13:11.47 ID:yOhGu/Zb0
晩ご飯を作る時間になり、彼女と準備を始めた。「服も買ってもらったので、これくらいは・・・」と言われたのでお言葉に甘えることにした。
「そういえばアレルギーとか嫌いな食べ物ある?昨日はそこあたり考えずに作っちゃってごめんね」
「ありませんよ。塩分とか油は控えめに、野菜多めで、とは言われてますけど」
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 14:14:21.34 ID:yOhGu/Zb0
「薫さんのつくるご飯は全部美味しいです」
彼女はさっき僕が褒めたときに顔を真っ赤にしていたが、彼女もなかなか強者のようだ。そういうことを照れずに言われると、こちらが恥ずかしくなる。
「ありがとう」といいつつ作業に集中する。包丁を使っているから気をそらして怪我をしてはいけない。
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