過去ログ - 終わらない物語が嫌いな僕と余命が短い女の子の話
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 14:47:01.64 ID:yOhGu/Zb0
爆弾が落とされた。今まで彼女のことを妹として見ようと必死だったのに、そんなことを言われては「女性」として見ざるを得ない。
「そういうことは、ちゃんとした男の人に言いなよ。こんな冴えない学生よりも、さ」
なんとか彼女に平静を保ってそう伝えた。彼女は何かをぽつりと呟いたが、聞き返しはしなかった。
以下略
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 14:48:36.65 ID:yOhGu/Zb0
できた晩ご飯をテーブルに並べて二人でご飯を食べた。昨日は父さんがいたから、実質二人でご飯を食べるのは初めてだ。外のお店だと必要以上の油や調味料が使われている気がして、なんとなくお店には入れなかった。それは彼女もわかってくれているらしく、「お腹すきましたね」などとは外出中一言も言わなかった。
食事を片付け、昨日と同様に僕が最初にお風呂に入り、新しくお風呂を沸かしてから彼女に入らせた。
それから彼女と部屋で少し話しをしながら時間を確認すると、昨日彼女が寝た時間よりも少し遅いことに気がついた。
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 14:58:00.33 ID:yOhGu/Zb0
「そろそろ寝る時間じゃない?」
「そうですね」
「それじゃあ、おやすみなさい」と言ってドアの付近で見送ろうとしたとき
以下略
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 15:07:48.08 ID:yOhGu/Zb0
何が起こったのかがわからなかった。ただ伝わるのは彼女の温もりと、彼女が持ってきたであろうボディーソープの香りだけだった。
「__薫さん、私あと二ヶ月くらいで死んじゃうんです。病気で。もしかしたら、それよりも先に死ぬかもですけど」
「・・・うん。知ってたよ。母さんから聞いた」
そう。僕は今、初めて彼女の口から余命の話を聞いたのだ。もし母さんから先に聞いていなければ、僕はたちの悪い冗談として受け止めていただろう。
以下略
83
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 15:13:52.62 ID:yOhGu/Zb0
ですよね。なんとなく、わかっていました。だから私とお揃いのキーホルダーを買ってくれたり、可愛い服を買ってくれたり、私の行きたいところはどこでもついて来てくれた」
「本当はずっと前から余命宣告されてたんです。でも、いつもそう言われて生き延びているから、きっと今回もって」
「だけど前の検査で、本当にもう長くないって、言われて・・・」そう言って彼女は口を噤んだ。
以下略
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 15:29:30.88 ID:yOhGu/Zb0
「・・・優しいんですね」そういって彼女は先ほどよりも強く僕を抱きしめた。僕はただ、彼女が涙をこらえるような、鼻をすするような音を聞くしか出来なかった。
どれくらい時間が経ったのかはわからない。数分かもしれないし、十分以上経っているのかもしれない。
それから彼女は「ごめんなさい・・・それから、おやすみなさい」と言って部屋を出て行った。彼女が僕を見ることは、なかった。
以下略
85
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 15:30:49.94 ID:yOhGu/Zb0
次の日の朝、僕たちは何事もなかったように接した。もう一度振り返ってはいけない。夜だったから、一時帰宅の最後の日だったから、少し心が弱くなったのだろう。そう思うことにした。
彼女とともに朝ご飯を作り、父を見送り、僕は彼女を病院まで送った。
彼女の病室に入ったとき母さんに「・・・何かあったの?」と聞かれたが、何もないよ、と返しておいた。
以下略
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 15:42:10.97 ID:yOhGu/Zb0
僕は昼から大学へ行った。ぼんやりと講義を受けながら、昨晩のことを思い出した。
彼女はなぜ僕に抱きついたのだろう。そんなことがわからないほど僕はうぶではなかった。
彼女は僕のことが好きなのだろう。たいして見た目良い訳でもない僕にあれほど好意的な視線を向け、だきついたりもしたのだから。
以下略
87
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 15:45:36.62 ID:yOhGu/Zb0
しかしあの夜、彼女は僕に「好きです」とか「付き合ってください」とは言わなかった。
恋愛は男からいけ、なんていう人もいるけれど、僕は彼女が望まない限り、そういう関係にはなるつもりはない。
いや、もし望まれても、僕はきっと拒否するだろう。
以下略
88
:
◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 16:08:37.59 ID:yOhGu/Zb0
僕が病院に行くのをやめてからしばらく経った。僕はその間勉強をしたり友達と遊びに行ったり、いわば『普通の大学生』を過ごしていた。
けれども心に何かが足りないような、そんな感じがしていた。それが彼女のことだとはわかっていたが、それでも僕は気にしないようにした。
10月になり、そろそろ病院にいこうと思った。母のことも心配だし、彼女の容態も気になったから。
以下略
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 16:11:32.04 ID:yOhGu/Zb0
もしかして彼女はもう、なんて不吉なことを考えてしまった。ドアを開けるのが怖かったが、覚悟を決めてノックした。すると母の返事が返ってきて、入室の許可を得た。
「・・・久しぶり」
「うん。・・・ごめん」
以下略
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