過去ログ - 終わらない物語が嫌いな僕と余命が短い女の子の話
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 15:13:52.62 ID:yOhGu/Zb0
ですよね。なんとなく、わかっていました。だから私とお揃いのキーホルダーを買ってくれたり、可愛い服を買ってくれたり、私の行きたいところはどこでもついて来てくれた」
「本当はずっと前から余命宣告されてたんです。でも、いつもそう言われて生き延びているから、きっと今回もって」
「だけど前の検査で、本当にもう長くないって、言われて・・・」そう言って彼女は口を噤んだ。
以下略
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 15:29:30.88 ID:yOhGu/Zb0
「・・・優しいんですね」そういって彼女は先ほどよりも強く僕を抱きしめた。僕はただ、彼女が涙をこらえるような、鼻をすするような音を聞くしか出来なかった。
どれくらい時間が経ったのかはわからない。数分かもしれないし、十分以上経っているのかもしれない。
それから彼女は「ごめんなさい・・・それから、おやすみなさい」と言って部屋を出て行った。彼女が僕を見ることは、なかった。
以下略
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 15:30:49.94 ID:yOhGu/Zb0
次の日の朝、僕たちは何事もなかったように接した。もう一度振り返ってはいけない。夜だったから、一時帰宅の最後の日だったから、少し心が弱くなったのだろう。そう思うことにした。
彼女とともに朝ご飯を作り、父を見送り、僕は彼女を病院まで送った。
彼女の病室に入ったとき母さんに「・・・何かあったの?」と聞かれたが、何もないよ、と返しておいた。
以下略
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◆eZMycVsOYY
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2017/01/09(月) 15:42:10.97 ID:yOhGu/Zb0
僕は昼から大学へ行った。ぼんやりと講義を受けながら、昨晩のことを思い出した。
彼女はなぜ僕に抱きついたのだろう。そんなことがわからないほど僕はうぶではなかった。
彼女は僕のことが好きなのだろう。たいして見た目良い訳でもない僕にあれほど好意的な視線を向け、だきついたりもしたのだから。
以下略
87
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◆eZMycVsOYY
[saga ]
2017/01/09(月) 15:45:36.62 ID:yOhGu/Zb0
しかしあの夜、彼女は僕に「好きです」とか「付き合ってください」とは言わなかった。
恋愛は男からいけ、なんていう人もいるけれど、僕は彼女が望まない限り、そういう関係にはなるつもりはない。
いや、もし望まれても、僕はきっと拒否するだろう。
以下略
88
:
◆eZMycVsOYY
[saga ]
2017/01/09(月) 16:08:37.59 ID:yOhGu/Zb0
僕が病院に行くのをやめてからしばらく経った。僕はその間勉強をしたり友達と遊びに行ったり、いわば『普通の大学生』を過ごしていた。
けれども心に何かが足りないような、そんな感じがしていた。それが彼女のことだとはわかっていたが、それでも僕は気にしないようにした。
10月になり、そろそろ病院にいこうと思った。母のことも心配だし、彼女の容態も気になったから。
以下略
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◆eZMycVsOYY
[saga ]
2017/01/09(月) 16:11:32.04 ID:yOhGu/Zb0
もしかして彼女はもう、なんて不吉なことを考えてしまった。ドアを開けるのが怖かったが、覚悟を決めてノックした。すると母の返事が返ってきて、入室の許可を得た。
「・・・久しぶり」
「うん。・・・ごめん」
以下略
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:
◆eZMycVsOYY
[saga ]
2017/01/09(月) 17:15:11.33 ID:yOhGu/Zb0
母から病室の場所を聞き、僕はすぐさまそこに向かった。
部屋をノックすると、彼女の声が聞こえた。聞き慣れた、懐かしい声
入室に許可をもらい、ドアを開けた。
以下略
91
:
◆eZMycVsOYY
[saga ]
2017/01/09(月) 17:18:04.07 ID:yOhGu/Zb0
「朝野薫です。いきなりお邪魔してすいません」と言って彼女の近くに寄った。
彼女は親類たちに「二人で話したいからさ、ちょっと外で待っててもらっていいかな」と言った。親類の人たちも色々と察してくれたのか、「それじゃあ・・・」と言って退出した。
バタンとドアのしまる音を聞き、彼女と二人っきりになった。ベッドの傍らには僕とお揃いのクマが置いてあった。
以下略
92
:
◆eZMycVsOYY
[saga ]
2017/01/09(月) 17:22:24.00 ID:yOhGu/Zb0
「お久しぶりです」
「うん・・・久しぶり」
「髪、実は大分前から無かったんです。いつもはウイッグとかで隠してたんです。えへへ」
以下略
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