334:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 20:29:11.79 ID:sKfYX8RPo
タカネ「良いでしょう。それならば、永遠にここに居なさい。
お望み通り貴女の愛するこの星に……穴掘って、埋めて差し上げます!」
瞬間、耳をつんざくような轟音が大気を切り裂き、震わせる。
まだ炎の侵食を受けていない森へと逃げ込もうとしたヒビキだが、
335:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 20:32:03.66 ID:sKfYX8RPo
痛みに備えてヒビキは身を固くする。
が、代わりに届いたのはドリルの回転による風圧と、回転音に重なる何かの音。
そして異変に気付き目を開けたヒビキの目に飛び込んできたのは――
身を挺して主人を守る、アニマルロボたちの姿であった。
336:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 20:34:18.05 ID:sKfYX8RPo
ヒビキ「あ、ああっ……!」
一番小さな体で最後まで食らいついたハム蔵が、
部品を撒き散らしながら弾き飛ばされた時になって、ようやくドリルの回転は止まった。
ヒビキは周囲に無残に散った破片をかき集めるが、ボロボロと崩れていく。
337:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 20:35:29.24 ID:sKfYX8RPo
タカネ「それが愚かだと言っているのです。
宝だ、星だなどと、瑣末なことに執着するがゆえに、
本当に大切なものを失う……真、愚かしいこと……」
それまで多少の機微は見せようとも、
338:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 20:36:47.29 ID:sKfYX8RPo
もはやこれまでかとヒビキは目を強く瞑り、
胸元に隠した希照石を抱きかかえるように両手を当てた。
しかしその時、ヒビキの目がハッと驚いたように開かれ……
次の瞬間。
339:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 20:39:14.49 ID:sKfYX8RPo
タカネの洞察の通り、ヒビキがこの宇宙船の存在を知ったのは、
数秒前に“声”を聞いた時が初めである。
それは古代の巫女の残した、アニマの秘宝を守るための最終手段。
アニマの正統な巫女が希照石を手にした時に限り、希照石の力でのみ動く宇宙船であった。
伝承では、希照石の力が希照石を守るとだけ伝えられていたのだが、
340:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 20:44:07.18 ID:sKfYX8RPo
ヒビキは少しの間、遠ざかる怪ロボットを振り返っていたがそれもすぐに見えなくなった。
やがて自分の故郷の星の全体像が見えた頃になって、
ようやくヒビキは先程から聞こえる“声”の内容を整理し始めることができた。
ヒビキ「……きっとすぐに追ってくる。
341:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 20:46:11.18 ID:sKfYX8RPo
・
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・
タカネ「申し訳ございません、ハルシュタイン。
貴女の望むものを手に入れるのはもう少し先になりそうです」
342:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 20:47:10.95 ID:sKfYX8RPo
ハルシュタイン「まさか、アニマの秘宝が三希石のうちの一つだったとはな」
タカネ「……“三希石”?」
聞きなれない単語を確認するように復唱したタカネに、
343:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 20:56:58.01 ID:sKfYX8RPo
マコト「――行き先は地球、ですか」
時を同じくし、マコトはハルシュタインに静かに尋ねる。
ハルシュタインはタカネの前から姿を消した時の表情そのままに答えた。
344:名無しNIPPER[saga]
2017/02/05(日) 21:00:50.93 ID:sKfYX8RPo
マコト「キミにはそうは見えなかっただろうけど、彼女は強いよ。
正面から戦えば僕でもそう簡単には勝てはしないだろう」
ここで初めてヤヨイの目が興味深げに見開かれ、マコトに向けられた。
しかしマコトは自分に注がれる視線など意に介さず、
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