398:名無しNIPPER[saga]
2017/02/12(日) 20:47:13.83 ID:NhytkIqso
タカネ「ハルシュタインの持つ、時空と時間を超越する力……。
それが完成されればまさに全知全能、それこそ神の如き力となり得るでしょう。
『死者をも蘇らせることができる』とさえ、彼女は言ってのけました。
その言が真か、それとも私を従わせるための嘘かは、わかりません。
それでも私には……すがり付くしか、道はありませんでした。
妹に会いたい、せめて一言謝りたい、
愚かな私のために死んでしまったのなら、蘇らせたい……。
そんな身勝手な願いを叶えるために私は、泡沫のような可能性に賭けるしかなかったのです」
話す内容はあまりに酷であったが、
それとは裏腹にタカネの表情は穏やかに微笑みをたたえている。
タカネ「ですがその可能性も、露と消えました。
ハルシュタインは二度と私に会おうとはしないでしょう。
でも、それで良かったのかも知れません。
ただ愚かであるばかりか悪に手を染め、罪を償うために罪を重ね続けた私には、
家族との再会を願う権利などありはしないでしょうから……」
どこか吹っ切れたような、憑き物の取れたようなその顔が、
恐らくは本来のタカネに近いものなのだろう。
しかしその場に居た者は皆、
その穏やかな表情の裏に秘められているであろう悲哀を想い、
口を閉じて目を伏せることしかできなかった。
ただ……一人を除いて。
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