388:名無しNIPPER[saga]
2017/02/12(日) 20:04:06.20 ID:NhytkIqso
なぜ、自分は今の攻撃を受け流すことができなかったのか。
タカネにはその理由が分かっていた。
分かっていたからこそ、驚いていた。
ミキはつまり、ドリルの回転と逆方向に、ハンマーに回転を加えていたのだ。
389:名無しNIPPER[saga]
2017/02/12(日) 20:06:04.83 ID:NhytkIqso
だが、今の技術はなんだ。
この距離から感じる鮮烈な気配はなんだ。
天才という言葉ですら表現しきれない何か別種の力が、
間違いなくこのミキという少女の体の中には秘められている。
390:名無しNIPPER[saga]
2017/02/12(日) 20:10:21.22 ID:NhytkIqso
高く跳躍し、蹴りを放とうとするヒビキの姿が、見開かれたタカネの瞳に映る。
タカネは意表を突かれ一瞬身を固くした。
が、生身であっても並外れた身のこなしを持つタカネである。
一直線に振り抜かれたヒビキの脚は、一瞬前までタカネが居た場所をただ通過した。
そして空振りした直後のヒビキの体に
391:名無しNIPPER[saga]
2017/02/12(日) 20:16:10.96 ID:NhytkIqso
しかし闘志を顕にし、ドリルを構えようとしたタカネの顔は
先ほどとはまた違う驚愕に彩られた。
手に力を入れた途端、
二つある操縦桿のうちの一つが音を立てて真っ二つに折れたのだ。
392:名無しNIPPER[saga]
2017/02/12(日) 20:20:43.74 ID:NhytkIqso
タカネ「絶対に……諦めて堪るものかぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!」
タカネの叫びに呼応し、ユキドリルが大きく挙動する。
そして、ハンマーとドリル、全力を込めた攻撃同士が正面からぶつかり、
周囲一帯に衝撃波が広がった。
393:名無しNIPPER[saga]
2017/02/12(日) 20:25:34.61 ID:NhytkIqso
・
・
・
――目を開けると、真っ先に青い空が目に入ってきた。
同時に記憶が蘇る。
394:名無しNIPPER[saga]
2017/02/12(日) 20:28:52.45 ID:NhytkIqso
タカネ「貴女方は勝ち、私は負けた。
結果がすべて……それで良いではありませんか」
これ以上何も答えることはないというように、タカネは目を伏せる。
しかしその肩が、ヒビキの言葉でぴくりと動いた。
395:名無しNIPPER[saga]
2017/02/12(日) 20:33:09.77 ID:NhytkIqso
早口気味に発せられたタカネの言葉には、明らかな拒絶の意思があった。
だがヒビキには、それは『許される』こと自体を拒絶しているように聞こえた。
ヒビキ「……理由を聞いたからって、許せるかどうかは分からない。
でも、知りたいんだ! だって、眠っている時のタカネはずっと泣いて……」
396:名無しNIPPER[saga]
2017/02/12(日) 20:39:23.94 ID:NhytkIqso
マミ「それは……そうかもだけど……」
ミキ「それにミキだって、
タカネが困ってるんだったら助けてあげたいって思ってるんだよ?
まあ、もし本当に悪い人じゃなかったら、だけど」
397:名無しNIPPER[saga]
2017/02/12(日) 20:43:19.51 ID:NhytkIqso
それからタカネはポツリポツリと語り始める。
自分の故郷がハルシュタインによって滅ぼされたこと。
最後まで抵抗を続けた自分に付き添い、ギリギリまで星に残り続けた妹が居たこと。
そして彼女が乗り込んだ脱出艇がハルシュタイン軍の追撃を受け、
宇宙の闇の中へと消えていったこと……。
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