17: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/10(金) 21:01:51.81 ID:TTAc4R6C0
そのまま頭の上に頭を出すと、思わず目を丸くしてしまった。
綺麗に掃除されている。
18: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/10(金) 21:03:47.71 ID:TTAc4R6C0
「犯人、誰なんだろう」
ぽつりと呟くと、片耳が床についていたので、その言葉は、私の頭に大きく響いた。
「気になるってことは」
19: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/10(金) 21:04:56.91 ID:TTAc4R6C0
メダカの犯人探しは、翌々日には先生達の思惑通り、鎮静していた。中学生なんてそんなものだ。
一週間くらいは、未来人と一緒に行動すると、避けられているようなところはあったけど、それも、半月も経てばなくなっていた。
20: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/10(金) 21:05:43.02 ID:TTAc4R6C0
その日はよく晴れていて、私は、未来人とは反対側の、給水タンクの陰から、中庭を眺めていた。
ここは中庭が見下ろせる代わりに、中庭からも見えてしまうという難点があったけど、中庭なんてほとんど人は来ないし、そもそも給水タンクの方向を見上げる人なんていなかった。
21: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/10(金) 21:06:34.77 ID:TTAc4R6C0
中庭に着くと、岡西が近くの石に腰掛けて、写真の確認をしているところだった。
「写真、撮ってたの?」
22: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/10(金) 21:07:55.91 ID:TTAc4R6C0
その翌日のことだった。
その日はやけに人が来るのが遅くて、私はその日の分の宿題を終わらせてしまって、それでもいつもの半分ほどしか人がいなかったので、
何か集まりでもあったのかと不安になって、隣のクラスの山田のところに聞きに行くことにした(未来人は教室にはいなかった)。
23: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/10(金) 21:08:58.75 ID:TTAc4R6C0
中庭の入り口に着くと、思った以上の人混みで、その奥になにがあるのか見えなかった。ただ、心なしか男子が多かったように思う。
前の方では先生が2人くらいいて、「あんまり見るな、教室に戻れ」と生徒を追い返そうとしていた。
24: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/10(金) 21:09:39.31 ID:TTAc4R6C0
私が未来人に、中庭に何かあったのかを尋ねようとすると、彼女は、少し考えてから、
「見てもいいけど、目が良いなら、あんまり見ないほうが良いかも」
25: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/10(金) 21:10:50.27 ID:TTAc4R6C0
教室に戻ると、やっぱり、話題は中庭のカメのことで埋まっていた。
色がどうだった、とか、どこが割られていた、とか、何匹やられていた、とか。
私は何でもない風な顔をして一人で席に着いて(未来人はついてこなかった)、教科書を読むふりをしながら、何人かの会話に耳を傾けていた。
26: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/10(金) 21:11:52.55 ID:TTAc4R6C0
話を戻す。
暗い顔をした滝野に、目立ちたがり屋はさらに続ける。
27: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/10(金) 21:12:57.07 ID:TTAc4R6C0
岡西は、少し驚いた様子を見せた後、いつも通りの調子で扉を閉めて、黙って自分の席に向かう……向かおうとしたところで、まだ入り口近くにいた滝野が、震える声で岡西を呼び止めた。
「……ね、ねぇ」
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