368:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 06:03:29.86 ID:ha7ZcpN9o
そんな刑務所の中、鹿角聖良は窓なき部屋の天井を見上げ、静かに思考に意識を傾けている。
独房ではなく殺風景な一室、机を挟んで聴取人。
あくまで粛々と、確認のために何日も何日も幾度も幾度も同じ問いを繰り返される。そんな一種の拷問めいた取り調べの最中だ。
369:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 06:04:19.02 ID:ha7ZcpN9o
言葉を切り、聖良の瞳はその頑なさから、少し印象を違えている。
妹、理亞を想う。
自らを犠牲にしてまで逃した妹の姿を思い浮かべ、静かに微笑を浮かべる。
370:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 06:04:46.32 ID:ha7ZcpN9o
…
ブブブ…と羽音。
砂塵を巻き上げつつ低空、トンボめいた姿の緑竜がハチノタウンの軒先をすり抜ける。
371:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 06:05:54.19 ID:ha7ZcpN9o
ポカリと殴りつけ、「痛いわにこ!」と抗議の声。
そんな二人を呆れ調子で眺める真姫、その肩がちょいちょいと叩かれる。
「ふっふっふ、かわいいお嬢さん。今晩一緒に晩ごはんはいかがですかぁ?」
372:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 06:06:21.84 ID:ha7ZcpN9o
凛と花陽は家族ぐるみの付き合いだ。
日頃から民宿小泉へは実家その2とばかり気軽に出入りしていて、それが今日は海未の宿の便宜も図らなくてはならない。
となれば、普通の一軒家な星空家よりは小泉家に連れてくるのが妥当。
希は希で絵里たちと同室、元々こちらに宿を取っているのだからなおさらだ。
373:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 06:07:41.10 ID:ha7ZcpN9o
夕暮れの露天風呂。
まだ宿泊客たちで混み合わないうちにと、穂乃果ら九人は早々に乳白色の湯に肩を並べている。
年頃の女子が大勢集えば、聞こえてくるのはなんとも華やかな会話の数々。
374:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 06:08:31.54 ID:ha7ZcpN9o
ことり「僧帽筋もすご〜い!格闘選手みたいでかっこいいっ♪」
絵里「システマはある程度使えるように訓練しているから、それでかしら」
海未「私もそれなりに鍛えてはいるのですが、なかなか筋肉が太くなってくれないのです」
375:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 06:09:07.43 ID:ha7ZcpN9o
…
穂乃果「おおおおおぉぉぉ……!!!」
376:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 06:10:04.09 ID:ha7ZcpN9o
トレーナー旅というのは概して、食生活が貧相になりがちだ。
街にいるときはポケモンセンター界隈にトレーナー割引の効く安価な食堂が集まっていたりするものだが、旅路の最中は携帯食や小さな商店で買ったカップラーメンだとか、そんなものばかり。
まして穂乃果のパーティはリザードン、リングマ、さらにはガチゴラスと大飯食らいが多く、食費がかさんでかさんで仕方がない。
377:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 06:10:53.59 ID:ha7ZcpN9o
絵里や希からの申し出で、九人は絵里たちが泊まっている一室に御膳を並べている。
チャンピオン、四天王、ポケモン博士に国際警察。
面子が面子、泊まっている部屋はかなり広いのだ。
風呂上がりのほのぼのとした雰囲気、食事も絶品とくれば自然と会話は弾む。
378:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 06:11:23.11 ID:ha7ZcpN9o
経歴も立場も九人九色。
質問されて答え、旅路の小話を少々、仕事柄のネタを披露。
そんな繰り返しでエピソードが尽きることはない。
会話をしながらのゆっくりとした食事の時間が流れていく。
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