853:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 20:23:41.73 ID:ha7ZcpN9o
飛来する氷弾は“スキルリンク”で五発セット、それを絵里のパルシェンは速射で×3。
計十五発の氷柱が鞠莉の頭上から猛然と降り注ぐ。接地、巨大に隆起する氷塊!!
鞠莉「O゛O゛hhhhッ!!!」
854:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 20:24:31.44 ID:ha7ZcpN9o
コキュートスめいた零度下、アラスカを思わせる氷気の中を鞠莉は駆け抜ける。
乗馬は強度の全身運動だ。それも全力疾走、鞍が付いているわけではないギャロップの上。
腕に足に、身体中を使って振り落とされないように必死にしがみつく鞠莉だが、疲労は徐々に蓄積されていく。
そして密着に伝わってくるのはギャロップの鼓動。時間ごとに荒さを増していっていて、負担を掛けてしまっているのは明らか。
855:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 20:25:20.24 ID:ha7ZcpN9o
タイプを考慮し、パルシェンが放つのは“つららばり”とは非なる技。
ただし同様、“スキルリンク”の効果で岩弾は五連発でアシレーヌへと向かう!
アシレーヌが岩を速射で浴びせられ、苦悶の声に倒れている。
それを耳に歯噛みしつつ、鞠莉は絵里との距離を詰めている。
856:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 20:25:50.68 ID:ha7ZcpN9o
モンスターボールの内部へと声は届く。
ポケモンが中にいる状態でも、開閉前に声をかけて予め指示を下しておく事は可能だ。
鞠莉は手持ちで最後の一匹へ、先んじて一つの指示を下している。
それはごくシンプル、技の対象の指定だけ。
857:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 20:26:23.43 ID:ha7ZcpN9o
一撃必殺技、“つのドリル”は命中率が三割ほどとされている。
ツノへと螺旋回転するエネルギーを纏わせ、全力で猛進して相手へと叩き込むのだ、倒せないはずがない。
ただし、命中に関しては全力での突撃がネックとなる。
なにしろツノを相手に向けた状態での疾駆、視界がまるで確保できないのだ。
858:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 20:26:53.05 ID:ha7ZcpN9o
絵里「……」
無言。足元を掬われ、悔しさを滲ませている。
静かにパルシェンを回収し、ボールへと小さく労いの声を。
859:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 20:27:37.39 ID:ha7ZcpN9o
ふらつきながら、それでも瞳には力強さを残したままにダイヤが現れる。
左腕の全体が氷に覆われていて、他にも細かな傷に満身創痍。
だがその表情は、一局の勝利を鞠莉へと雄弁に知らせている。
傍らにはエンペルトとディアンシー。
860:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 20:28:13.45 ID:ha7ZcpN9o
鞠莉「…Wha、t…?」
息が冷たい。指先がかじかむ。
鞠莉の全身から力が抜け始めている。
861:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 20:29:00.34 ID:ha7ZcpN9o
絵里が切り札、メガユキノオーを出し渋ったのには理由がある。
氷使いである絵里にとって、戦況は凄まじい逆境からのスタートだった。
鞠莉の戦略、大量の炎ポケモンで取り囲まれるという完全なる対策。
862:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/25(土) 20:29:30.16 ID:ha7ZcpN9o
絵里「小原鞠莉、厄介だったわ。本当に」
ダイヤ(……く、っ…私も…!)
絵里「眠くなってきたかしら。そのまま目を閉じなさい、氷の揺り籠は万人に等しく優しいわ」
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