172: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/26(金) 02:46:43.52 ID:WogFjCSk0
ただ、驚くべきことはWWPにはあった。超能力者たちに共通する、自分は人間とは別であるという認識。その特異性ゆえに排他された彼らは、人間を憎んでいる。徒党を組むとすれば超能力者同士でのみと思われていた。それが今回、人間と共闘していたという事だ。
それは更に厄介さを増したという事だ。超能力は程度があれ、脅威に変わりない。だが、人数は少ない。それは勢力維持の観点でかなりの不利を意味していた。だから、WWPも『ある程度』の無視を決め込むことができたのだ。
とはいえ、事ここに至りその判断は早急に切り替えなければいけなくなった。手を結んだ人間が、超能力者の力を発揮できるようサポートするだけで、被害は拡大していく。それこそ、今回のようにだ。
173: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/26(金) 03:08:28.25 ID:WogFjCSk0
詳細を知りたい本部は、指定した救助ポイントへ向かうよう指示し、車両はそこへ向かって走る。あそこまで苛烈に攻撃を仕掛け、なぜ自分達が生き延びられたのかという疑問は、もう少しでこの任務が終わるという気持ちで忘れ去られていく。
先ほどの感情がないように見えた兵士にしても同じことだった。脳裏には仲間の無残な姿が焼き付いている。思い出すたび、身体が震えた。それは他の生き延びた仲間も同じ。忘れ去られていくと言うよりは、忘れたいと言うべきだ。
まだ、今この時も空中から強襲を仕掛けてきた人型が、自分達の隙を狙っている。その想像は恐怖を胃の奥底からこみ上げさせる。惨劇後は死が常に纏わり付いてくるが、それでもこれはその中でも異質だ。
174:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 09:15:27.72 ID:+4jLdHtM0
乙!
そんなどうしても逃れようのない現象の様な人物が生まれるに至った原因(ゾンビ化物質散布)はWWPが作り出した訳だからな
いつか壊滅させられる時が来るなら、それは因果応報と言う以外に無いね
175: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/27(土) 04:10:54.33 ID:sY7bYUWb0
「あなたは何者なの?」
出発準備を進めている放浪者に、エコーは当然とも言える質問をした。超能力者といっても、今回のサンシャインの破壊ができる存在は限られてくる。エコーの持つ超能力についても攻撃能力は存在するが、あの城壁のような装甲には無力だ。次にフェアリーならば、単体ならば何も問わず浮かすことができる。だが、近づかなければいけないという部分でいくと、奇襲以外だと大きな危険が伴う。
超能力者であってもそういう状況なのだから、いくらファントムシリーズを有している放浪者と言えど、そこから更に困難が伴う。その事実が、超能力者であるエコーにとっても、驚愕するしかない。
176: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/27(土) 04:16:56.13 ID:sY7bYUWb0
今後のことを含めて、DJフレンドと放浪者は放送室で会議をしていた。まず、フレンド達がこの場所から退避するかについてだったが。
「…必要はない。今回の件、どうも奴等は超能力者の集団によるものと誤解したようだからな」
WWPの追撃時に、兵士達が超能力者だと叫んだことを放浪者は聞き逃さなかった。そして、それは都合のいい解釈と言えた。DJフレンドの勢力がいたと言う事実を覆い隠せる暗幕になる。
177: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/27(土) 04:35:21.58 ID:sY7bYUWb0
「それにしても、ここいらの発電がWIPという関連のものだったなんてね」
工場地帯のみならず、周辺で電気が使えていた理由は、サンシャインのメインであるレーザー砲への充填用の発電システムによるものだった。DJフレンド達も発電所等がたまたま生きているのだろうとしか思ってなかった。
電気を必要となる活動をしているフレンド達にとっては、プロジェクトの副産物を享受していたことになる。皮肉な事実だが、それによって得られる強みは、他の勢力の人間にはないものだろう。
178: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/27(土) 04:50:26.99 ID:sY7bYUWb0
開けられた扉がノックされる、そこにいたのは香坂の姿。神妙な面持ちで、放浪者と話がしたいとのことだった。話をしなければいけないことは大体終わり、DJフレンドも全体への周知の為、放送室を後にする。
扉は閉められ、二人きりになる。だからと言って恐縮する様子もなく、彼女の眼には強い光が宿っている。
「単刀直入に聞きます。貴方は本当に、ただの生存者なのでしょうか?」
179: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/27(土) 04:56:35.40 ID:sY7bYUWb0
けれど、それが自分だけの力でやっていると、放浪者は思ったこともない。全てはメンバーに支えられてきたからこそ。探索組と共に危険を退け、回収組のおかげで背中を任せられ、警備組がいるからこそ拠点で穏やかに過ごせる。
手を結ぶ者たちの存在もそうだ。研究所のサポートにより困難を切り開き、DJフレンド達の放送で世界は動いていることが知れる。保安官の店で語らう事も惨劇前の幸福を思い出させ、ハンターの苛烈さを見て現実を再確認する。千護達の切実な誓いが希望を思い起こさせる。
そして、今目の前にいる若き香坂達も未来に託せる存在として、彼は見ている。
180: ◆e6bTV9S.2E[saga sage]
2017/05/27(土) 05:04:45.16 ID:sY7bYUWb0
>>169
1日で起きてるんじゃよ。
結果はこういう風に誤認した感じやね
>>170
181:名無しNIPPER[sage]
2017/05/28(日) 07:05:22.33 ID:sz0+8FVF0
乙!
んで、サンシャイン騒ぎの熱も冷めやらぬ内に拠点に出戻りか……予想された襲撃に、放浪者はまた顔を顰めるだろうな
182: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/05/29(月) 04:21:08.98 ID:K08K4Lpc0
「…ではな、しばらくは気をつけてな」
ここにいるすべての人間は、屋上に集まっていた。放浪者達の見送りの為だ。彼が来てから少ししか経っていないように思えるが、もうまもなくで、1日が経過しようとしている。
フロートボードの上に、放浪者、エコー、フェアリーの順で乗っていて、放浪者とエコーはアクシデント時に備えて腰と腰をロープで結んでいる。バレットパレードの任務の終了は、まだ真の意味で終えていない。WWPに気取られず、『無事』に戻る。それが出来てこそ、この任務は完璧な遂行となる。それが分かっている放浪者に、いつも通り気を抜いた様子はない。
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