過去ログ - 白菊ほたる「わたしにできること」
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1:名無しNIPPER
2017/04/28(金) 02:36:16.46 ID:8oAJsxq30
※注意事項
・アイドルマスターシンデレラガールズのSSです
・暗い
・デレステの白菊ほたるコミュメモリアル1を下敷きにしています
・暗い
・独自要素あり
◆◆◆
俺はモバP。
俺が白菊ほたると出会ったのは、ある番組の収録の後のことだった。
同じ事務所所属の、バーター出演するはずの売れっ子がドタキャンして現場に来なかった。
そうして大きな仕事を失ったのはおまえのせいだと前の事務所のプロデューサーに非難され、解雇されたのだと。
そう寂しげに言った彼女を放っておけなくて、俺はほたるをスカウトした。
いかに売れっ子だろうと、ドタキャンをするなんてのはプロとして失格だ。
ひいては、そういう可能性があるアイドルを放置していた事務所こそが責任を追求されるべきであって、決してほたるのせいであるはずはない。
ほたるは、幸せになるべきだと、強く思ったのだ。
むろん、義侠心からだけのことじゃない。
小さいけど澄んだ声。
13歳とは思えない、儚げで整ったルックス。
なによりも、それでもアイドルになりたい、という思い。
ほたるにはトップアイドルになれる資質が確かにあるとそう信じたからだ。
俺は彼女をスカウトし、レッスンを積ませ、同じ事務所のアイドルたちと積極的に交流させた。
自慢じゃないがうちのアイドルたちはルックスだけでなく性格もいいのだ。
その優しさがきっとほたるを癒すだろう。
ほたるには悪い評判もあったが、なんのその。
俺は走り回って彼女に仕事を取ってくる。
たしかにほたるが来てから奇妙に不運なできごとがありはしたが、どれも小さなことだった。
俺は気にするほたるを平気だと、気にするなと笑い飛ばして、自分がほたるの言う不幸なんかに負けないと見せつけた。
その甲斐あって、俺やアイドルたちと、ほたるはうまくやっていけていた。
バカな俺は、あの日までそう信じ込んでいたんだ。
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2:名無しNIPPER
2017/04/28(金) 02:36:46.28 ID:8oAJsxq30
◆◆◆
モバP「そんなバカな。ほたるが辞めたいって、そう言ったんですか」
ちひろ「はい、その通りです。先ほど辞表を出して、寮に戻りました。Pさんにはとても直接はいえないから、ごめんなさいと伝えておいてほしい、って」
3:名無しNIPPER
2017/04/28(金) 02:43:28.50 ID:8oAJsxq30
◆◆◆
前略 プロデューサーさんへ
あの日、前の事務所を解雇されて行き場を失っていたわたしをプロデューサーさんが拾い上げてくださってから、もう何ヶ月が経ったでしょうか。
4:名無しNIPPER
2017/04/28(金) 02:43:55.82 ID:8oAJsxq30
プロデューサーさんは、不吉な噂が広まってしまっているわたしがちゃんとデビューするために、たくさん走り回ってくれましたね。
わたしの周りで不運な出来事がおこっても。
プロデューサーさんの身に不都合なことがおこっても。
5:名無しNIPPER
2017/04/28(金) 02:44:32.15 ID:8oAJsxq30
ある日のことです。
わたしは、以前の事務所で一緒だったアイドル候補の子と、町で再会しました。
彼女は、わたしが新しい場所でアイドルを目指していることを、よろこんでくれました。
だけど、わたしは思い出しました。
6:名無しNIPPER
2017/04/28(金) 02:45:35.03 ID:8oAJsxq30
みんなが、わたしに、幸せになっていいよと言ってくれる。
幸せに、してくれる。
わたしは急に、自分がみんなから幸福をもらってばかりだと気づきました。
それはまるで、どんどん高く積みあがっていく塔のようです。
7:名無しNIPPER
2017/04/28(金) 02:46:16.97 ID:8oAJsxq30
プロデューサーさん。
幸せにおびえて、逃げ出したいと思うような女の子に、アイドルになる資格があるでしょうか。
皆を笑顔にしたいなどと願う資格があるでしょうか。
人を不幸にするものは、人に幸福にしてもらう価値があるのでしょうか?
8:名無しNIPPER
2017/04/28(金) 02:46:51.46 ID:8oAJsxq30
◆◆◆
9:名無しNIPPER
2017/04/28(金) 02:47:29.98 ID:8oAJsxq30
◆◆◆
【二時間後、女子寮】
10:名無しNIPPER
2017/04/28(金) 02:48:05.39 ID:8oAJsxq30
モバP「おまえは不幸だ。人を不幸にもしてきたのかもしれない。だけどなほたる。ここでおまえと仲良くなったアイドルたちも、トップアイドルになろうとするこれからの人生で、一度も不幸な目にあわずにいる、なんてことはできないだろう・・・ああ、だからおまえも不幸を気にするな、なんていうつもりは、ない」
モバP「ただ、はっきり言えるのは、おまえと仲良くなった彼女たちは、おまえほど不幸に慣れてはいない、ということだ。いつか不幸が訪れたとき、彼女たちは、きっとひどく傷つくだろう」
モバP「おまえは不幸を味わってきた。たぶん、俺やちひろさんより、ずっと・・・ほたる。そのおまえのこれまでを、おまえに優しくしてくれたアイドルたちのために、役立ててくれ。お願いだ」
11:名無しNIPPER
2017/04/28(金) 02:49:31.41 ID:8oAJsxq30
俺はモバP。
ほたるはあれから、俺の言ったことおり、事務所を守ってくれている。
アイドルとして歌いながら、辛かった昔と何度も向き合って、友達や事務所を守っている。
あれが、ほたるのために正しかったのかどうか、俺には解らない。
いや、きっと正しくはなくて、ほたるは今も傷ついているのかもしれない。
12:8oAJsxq30
2017/04/28(金) 02:54:07.74 ID:8oAJsxq30
以上です。ありがとうございました。
13:名無しNIPPER[sage]
2017/04/28(金) 02:56:09.77 ID:knZc8iH+o
これはもう責任取って将来お嫁さんにするしかないな
14:8oAJsxq30
2017/04/28(金) 15:52:15.43 ID:wHqM1Xp20
申し訳ありません、一部訂正します
×→モバP「わたしの不幸が、誰かの役に立つのなら。わたしの不幸が、あのやさしい人たちの笑顔の足しになるのなら。やります。やらせてください」
○→ほたる「わたしの不幸が、誰かの役に立つのなら。わたしの不幸が、あのやさしい人たちの笑顔の足しになるのなら。やります。やらせてください」
15:名無しNIPPER[sage]
2017/04/28(金) 19:47:42.16 ID:oyPAQF5KO
乙
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