21: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/05/06(土) 00:52:28.93 ID:vBGUfo7C0
その日の夜。
久しぶりにお袋の料理を食べた。
実家の風呂に入り、現実では俺が実家を出てから物置になった俺の部屋で横になった。
22: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/05/06(土) 00:53:03.03 ID:vBGUfo7C0
彼女はこれからあと何回、あの涙を流すのだろう。
1回、2回の話ではないはずだ。
1年、2年の話でもない。
23: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/05/06(土) 00:53:56.67 ID:vBGUfo7C0
「……くん!Pくん!」
……。
「起きてください。Pくんってば!」
24: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/05/06(土) 00:55:18.97 ID:vBGUfo7C0
疑問とともにむくりと起き上がると、目の前にはやはりセーラー服の菜々さんが立っていた。だが、その胸元には花が飾られている。
そして周囲は見知らぬ、昨日見たのとは少し雰囲気の違う高校の教室。プレートには『3−B』とあり、黒板には『卒業おめでとう!』とでかでかと書かれている。
あれ?昨日は2年生だったはず。時間が飛んだ?
25: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/05/06(土) 00:56:28.32 ID:vBGUfo7C0
昨日と同様に、菜々さんに連れられながら帰り道を歩く。
どうやら高校2年生だった昨日から場面が変わって、今日は高校3年生の卒業式になったらしい。
つまり1年以上の月日が流れていたことになる。
26: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/05/06(土) 00:57:52.06 ID:vBGUfo7C0
「えっと、菜々?」
戸惑う俺に何も言わず菜々さんはブランコに座り、ようやく口を開いた。
「結局、高校生のうちにアイドルにはなれませんでした」
27: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/05/06(土) 01:00:57.51 ID:vBGUfo7C0
「アイドルになるのはナナの小さな頃からの夢で、長年抱き続けてきた願いで、だから」
「きっとナナはいつまでも捨てることなく、この夢を持ち続けてしまうでしょう」
知っている。
28: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/05/06(土) 01:01:42.90 ID:vBGUfo7C0
「アイドルになりたくて頑張って頑張って、それでも届かなくて。でも夢の中でナナは言うんです」
「『今さら退けない』って。……それで少し怖くなったんです」
夢を追い続けることが怖くなったんです、と菜々さんは言った。
29:名無しNIPPER[sage]
2017/05/06(土) 01:02:36.03 ID:fBZplzL50
支援
30: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/05/06(土) 01:13:44.81 ID:vBGUfo7C0
俺は知っている。
やがて安部菜々の夢が叶うことを。
いつかは安部菜々が念願のアイドルとなり幸せになれることを。
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