過去ログ - 佐藤心「はぁとがかわる」
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1:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 15:46:40.94 ID:BbtAjqcW0
佐藤心SS
地の文。

かなり前に書いた、はぁとが紅い
ex14.vip2ch.com
の設定を引き継いでるところがありますが、読む必要ないです。

コメディ要素はありません。


SSWiki : ss.vip2ch.com



2:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 15:50:04.57 ID:BbtAjqcW0
 21時ちょうどに携帯がなった。メールの差出人は会社で、件名は予想通り、選挙結果だった。
 一呼吸ついてから、メールを開く。

 まず初めに高垣さんの名前があった。ほんのりと顔を赤らめ、幸せそうにお酒を飲む高垣さんの顔が頭に浮かんだ。
 僕ははぁとさんの担当でありながら、高垣さんのファンでもあるので、彼女がシンデレラに選ばれたことは素直に嬉しい。
以下略



3:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 15:50:55.12 ID:BbtAjqcW0
 50位まで見渡して、あれ?っと僕は思った。

 もしかしたら、気づかぬうちに見落としてしまったのかもしれない。
 本文の一番上に戻り、高垣さんの名前からもう一度、上位受賞者の名前を一つ一つ見ていく。
 さっきよりも慎重に、丁寧に。
以下略



4:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 15:52:38.51 ID:BbtAjqcW0
 いつもはシャワーで軽く済ませるのに、今日はバスタブにお湯を張った。
 取り乱していた。僕自身、落ち着く必要があった。

「佐藤心」
 
以下略



5:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 15:55:03.07 ID:BbtAjqcW0
 素敵な名前だ。そう思った。

 心。履歴書に書かれていた、初めて担当するアイドルの名だった。真っすぐで力強い印象を受けた。
 26歳。僕よりも年上だ。プロデューサーである僕ではなく、この人が僕を引っ張っていく。
 不思議とそんな予感がした。
以下略



6:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:00:43.44 ID:BbtAjqcW0
『心って男みたいな名前だろ?だからはぁとって呼んで☆呼べ☆』

 担当になってすぐ、はぁとさんは僕にそう言った。

 もったいないな。素敵な名前なのに、と思ったけれど、言葉にはしなかった。
以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:01:47.97 ID:BbtAjqcW0
「佐藤心」

 僕はもう一度、欲しかった名前を口にした。小さな浴室に名前は何度も木霊した。

 はぁとさんは今頃何をしているのだろう。ふと頭に浮かんだ。
以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:03:34.18 ID:BbtAjqcW0
 次の日、はぁとさんはいつもどおり、事務所に来た。
 ピンクを基調とした自作の衣装を身にまとい、クリーム色の髪の毛は大きく2つに結ばれ揺れていた。

「どうしたプロデューサー?はぁとのことそんなに見て……もしかしてはぁとに見惚れてた?やーん♪まいっちゃうー☆」

以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:04:56.94 ID:BbtAjqcW0
 二人きりになってもはぁとさんの態度は変わらなかった。

 澄み切った青空を見て、はぁとさんは

「今日もいい天気♪これならお仕事がんばれそう」
以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:06:27.65 ID:BbtAjqcW0
 テレビ局での仕事を終えると空は茜色に染まっていた。

「夕焼けきれいだね」はぁとさんが呟いた。

 そうですね、と僕は頷いた。
以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:07:59.41 ID:BbtAjqcW0
 場所ははぁとさんが好む大衆居酒屋ではなくて、個室つきの場所にした。
 はぁとさんはビール、僕はウーロン茶を頼もうとすると、

「いいから飲め☆飲んで☆」

以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:10:32.73 ID:BbtAjqcW0
 はぁとさんは「そっか」と呟いたあと、「ごめんね。はぁとのせいで」と申し訳なさそうに僕を見た。
 
 はぁとさんが「ごめんね」と言っている意味が理解できなくて、
 僕は「何がですか」と聞き返した。

以下略



13:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:12:41.45 ID:BbtAjqcW0
 言い終えてすぐ、しまったと僕は思った。口調は荒く、言葉も選びようがあったはずだ。

 申し訳なさそうに僕を見るはぁとさんの表情が、
 ますます悲しいものに変わっていくのだと思うと、僕ははぁとさんの目を見れなくなった。

以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:14:51.28 ID:BbtAjqcW0
「はぁとももちろん努力したよ?でも努力が足りなかった。だから名前が載らなかった。
 名前が載ってる50人は、はぁとよりももっと努力をしたんだと思う。
 だからはぁとは悔しいけど、辛くないし、悲しくない。
 ○○ちゃんの代わりにはぁとの名前があっても、なんて思ってもいないし、思いたくもない。
 そんなの思うくらいなら、もっとレッスンとか、自分が輝くために時間を使いたい。
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:16:49.16 ID:BbtAjqcW0
 この人は本当に真っすぐな人なんだ。僕が思っていた以上に。そう思った。

 順位のことについて話すはぁとさんの瞳は、とても真剣で、とても力強くて、とても輝いていた。
 
 僕は何もはぁとさんのことをわかっていないと思っていたけれど、
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:19:20.75 ID:BbtAjqcW0
 追加のビールが届くと、僕とはぁとさんはどちらから言うわけでもなく自然とグラスを合わせた。
 合わせたグラスは先ほどよりも、かつんと力強い音で響いた。そしてお互い、ビールを飲んだ。

 僕は一気に半分ほど飲み干すと、グラスを置き、そのままの勢いで、沈黙を破った。

以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:24:27.23 ID:BbtAjqcW0
おしまい。

書いてて長編書きたくなったので、次は長編書きます。


以下略



18:名無しNIPPER[sage]
2017/05/21(日) 19:51:56.20 ID:eJdTWWHho
かわいいよしゅがは
しゅがはかわいいよ
おつおつ


19:名無しNIPPER[sage]
2017/05/21(日) 21:45:13.54 ID:BbtAjqcW0
中間見て、まさか圏外になるとは予想していませんでした。
結果見たときに書かなきゃって思って書いたのが今回の作品なので、いつもよりも暗い話になりました。すみません。

次はハッピーエンド書きたいと思ってます。アイデアください


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