過去ログ - 佐藤心「はぁとがかわる」
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6:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:00:43.44 ID:BbtAjqcW0
『心って男みたいな名前だろ?だからはぁとって呼んで☆呼べ☆』

 担当になってすぐ、はぁとさんは僕にそう言った。

 もったいないな。素敵な名前なのに、と思ったけれど、言葉にはしなかった。
以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:01:47.97 ID:BbtAjqcW0
「佐藤心」

 僕はもう一度、欲しかった名前を口にした。小さな浴室に名前は何度も木霊した。

 はぁとさんは今頃何をしているのだろう。ふと頭に浮かんだ。
以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:03:34.18 ID:BbtAjqcW0
 次の日、はぁとさんはいつもどおり、事務所に来た。
 ピンクを基調とした自作の衣装を身にまとい、クリーム色の髪の毛は大きく2つに結ばれ揺れていた。

「どうしたプロデューサー?はぁとのことそんなに見て……もしかしてはぁとに見惚れてた?やーん♪まいっちゃうー☆」

以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:04:56.94 ID:BbtAjqcW0
 二人きりになってもはぁとさんの態度は変わらなかった。

 澄み切った青空を見て、はぁとさんは

「今日もいい天気♪これならお仕事がんばれそう」
以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:06:27.65 ID:BbtAjqcW0
 テレビ局での仕事を終えると空は茜色に染まっていた。

「夕焼けきれいだね」はぁとさんが呟いた。

 そうですね、と僕は頷いた。
以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:07:59.41 ID:BbtAjqcW0
 場所ははぁとさんが好む大衆居酒屋ではなくて、個室つきの場所にした。
 はぁとさんはビール、僕はウーロン茶を頼もうとすると、

「いいから飲め☆飲んで☆」

以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:10:32.73 ID:BbtAjqcW0
 はぁとさんは「そっか」と呟いたあと、「ごめんね。はぁとのせいで」と申し訳なさそうに僕を見た。
 
 はぁとさんが「ごめんね」と言っている意味が理解できなくて、
 僕は「何がですか」と聞き返した。

以下略



13:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:12:41.45 ID:BbtAjqcW0
 言い終えてすぐ、しまったと僕は思った。口調は荒く、言葉も選びようがあったはずだ。

 申し訳なさそうに僕を見るはぁとさんの表情が、
 ますます悲しいものに変わっていくのだと思うと、僕ははぁとさんの目を見れなくなった。

以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:14:51.28 ID:BbtAjqcW0
「はぁとももちろん努力したよ?でも努力が足りなかった。だから名前が載らなかった。
 名前が載ってる50人は、はぁとよりももっと努力をしたんだと思う。
 だからはぁとは悔しいけど、辛くないし、悲しくない。
 ○○ちゃんの代わりにはぁとの名前があっても、なんて思ってもいないし、思いたくもない。
 そんなの思うくらいなら、もっとレッスンとか、自分が輝くために時間を使いたい。
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2017/05/21(日) 16:16:49.16 ID:BbtAjqcW0
 この人は本当に真っすぐな人なんだ。僕が思っていた以上に。そう思った。

 順位のことについて話すはぁとさんの瞳は、とても真剣で、とても力強くて、とても輝いていた。
 
 僕は何もはぁとさんのことをわかっていないと思っていたけれど、
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