過去ログ - 追われてます!
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804:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:23:21.79 ID:HHfyV3AE0

【3/4】

 その言葉の数々は、俺の行動に影響を及ぼした……かもしれない。よく覚えていない。
 よく覚えていないくせに、言われた言葉だけが耳から離れない。
以下略



805:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:24:07.23 ID:HHfyV3AE0

 俺と彼女の何が違うんだ? できているのは俺の方なのに、どうして俺が責められている感覚にならなきゃないんだ?

 きっと、俺はそう考えた。
 だから、俺と彼女を天秤にかけた。
以下略



806:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:24:53.73 ID:HHfyV3AE0

 がんばれない俺と直向きにがんばれる佑希だったら、先が見えてるのはどちらかなんて言わずともわかることだった。

 仮に俺が弟で、佑希が姉だったとしても、母さんは同じことを言っただろう。「男なんだから」とか、「ちょっとは考えてあげなさい」だとか理由をつけて。

以下略



807:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:25:33.14 ID:HHfyV3AE0

 けれど、問題が起きるのは早かった。

 あまりに佑希が自分の手に入れた力を誇示するようになって、両親は今度は俺に気を使いだして、佑希を褒めなくなった。
 一番褒めてほしいと思っていた人に褒められなくなってしまった。
以下略



808:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:26:22.96 ID:HHfyV3AE0

 けれど、俺の役割はそれを我慢して褒めてあげることなのだろうと考えた。
 俺が"お兄ちゃん"をしていれば、彼女は"妹"として俺に甘えることができる。
 彼女が壊れなくて済む。俺は彼女に必要とされている。

以下略



809:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:28:48.70 ID:HHfyV3AE0

【4/4】

 そういった状況からの転機は、中学二年生にあがる頃だったと思う。

以下略



810:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:29:42.10 ID:HHfyV3AE0

「あなたはどうして最後までやりきることができないの?」
「とやかく口を出す気はないけど、妹に負けたままで悔しくはないの?」
「自分の意見はないの?」「人に合わせてばかりで恥ずかしくないの?」
「何事にもはっきりしているから佑希の方が接しやすいわね」「佑希の方がよっぽど大人ね」「あなたはいつまでそうなの?」
以下略



811:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:30:39.86 ID:HHfyV3AE0

 佑希と比べられることに関しては、無関心を貫き通すつもりだった。
 母さんの感知しない所で佑希が心の安寧を得ているのだし、今更俺がそれを嘆くことは今までの苦労を台無しにすることに繋がるものだったから。

 俺が悩んだのはもっと別のことで、もっと単純なことだ。
以下略



812:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:31:31.70 ID:HHfyV3AE0

 本当は、カメが追いついてきたら、一緒に並んで終着点まで進んでいけたらいいと思っていたのに。
 無駄なことで競うのはやめにして、ちょっぴり不器用なカメとどうでもいいような話をしながらゆっくり歩いていきたかったのに。
 そういうつもりで、俺は彼女をずっと待っているつもりだったのに。

以下略



813:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:32:24.93 ID:HHfyV3AE0

【言葉にすれば】

「お兄ちゃんは悪くないよ」

以下略



814:名無しNIPPER[saga]
2017/12/05(火) 00:33:00.47 ID:HHfyV3AE0

「それでさ」と彼女は話を変える。

「……今日は、なにかあったの?」

以下略



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