908:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:47:14.59 ID:xOgRNUoX0
「どう言い繕っても、結局は私自身のためなんだと思う。
あの子が悲しそうにしている姿を見たくないから。描きたいのに描けない気持ちは、痛いほどわかるから」
「……じゃあ、先輩も」
909:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:48:36.41 ID:xOgRNUoX0
「たとえば、勉強したり、歌をうたったり、ギターを弄ったり、どこかに出かけたり、
そういうことは、容易くできてしまうの。描けなくなったところで、私の生活は、何ひとつとして変わらないの」
誰にも強制なんてされてない。
910:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:49:20.81 ID:xOgRNUoX0
ぽつりぽつりと紡がれる言葉を、俺は黙って聞く。
声が止まってからも続きを待っていると、一分程過ぎた後に、先輩はこくりと喉を鳴らした。
「だから、あの子を助けたいって、そう思っちゃうのは、駄目なことなのかな?」
911:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:50:51.24 ID:xOgRNUoX0
「胡依先輩がそう思ってるなら、それでいいんじゃないですか?」
「……本当に?」
912:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:51:27.41 ID:xOgRNUoX0
「ありがとう」と胡依先輩は言った。
「私が間違ってると思ったらすぐに教えてほしい」とも言った。
俺の目が曇ってる可能性は、と言いかけて、押しとどめた。
913:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:52:27.89 ID:xOgRNUoX0
頭のなかで思い描いたイメージ通りに、胡依先輩は「それだけだよ」と答える。
だったら無理に続きを問いただすようなことはしないし、こんな卑怯な質問に乗っかってくれるあたり、この質問の意図は彼女に伝わっていると思う。
なぜなら、それだけ、なんてことはありえないのだから。
914:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:53:40.78 ID:xOgRNUoX0
「胡依先輩と東雲さんのやり取り、見てて楽しいんで、もっと仲良くなってほしいです」
「えー、見せ物じゃないのに」
915:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:54:13.48 ID:xOgRNUoX0
「どういう意味ですか」
「えっと、そうだな。んー……白石くんは、妹ちゃんのこと好き?」
916:名無しNIPPER[saga]
2017/12/28(木) 15:54:40.51 ID:xOgRNUoX0
「これが、さっきの答え」
「……」
917: ◆9Vso2A/y6Q[saga]
2017/12/28(木) 15:57:29.97 ID:xOgRNUoX0
今回の投下は以上です。
このスレで完結するかは定かではないですけど、終わりは見えてきました。
918:名無しNIPPER[sage]
2017/12/28(木) 16:43:40.75 ID:zpk1cFZSO
あ
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