1: ◆nvIvS/Qwrg
2017/09/27(水) 23:51:01.98 ID:8bf6NWvZ0
お世話になっております
新作の再掲をさせて頂きます
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/27(水) 23:52:04.56 ID:8bf6NWvZ0
【丸山紗希編】
辺り一面の草原に、僅かな肌寒さを含んだ風が通り抜ける。
夏も終わりに向かっているのだと感じた。
3: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/27(水) 23:55:07.27 ID:8bf6NWvZ0
もう一人の装填手である宇津木は通信手も兼ねているので何時でも忙しない。
一方、私は装填専門なので、現状は実に暇である。
少なくとも、物思いに耽る時間がある。
声には出さない。
4: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/27(水) 23:57:17.64 ID:8bf6NWvZ0
安物でも構わない。
今、私が欲しているのは好物ではない。
好物を口にするという行為だ。
特に近頃は碌なものを食べていない。
5: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/27(水) 23:59:11.27 ID:8bf6NWvZ0
好みが渋いと言われる。
誉められているのか、小馬鹿にされているのか、判然としない。
どちらでもないのかも知れない。
只の反射で言っている場合もあるのだ。
6: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/28(木) 00:01:07.76 ID:Hn8UeK6k0
詰まる所、渋いとは何なのか。
良いのか悪いのか。
言葉としては誉め言葉の類なのであろうが、時折、どうにも誉められた気がしない事がある。
それは、渋いという言葉に微かな侮りの響きを感じ取っているからか。
7: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/28(木) 00:03:35.90 ID:Hn8UeK6k0
私の意志。
私にも意志はある。
顔にも声にも出ない質であるだけで、感情も人並みに持ち合わせている。
時々、感情が希薄だと勘違いされる事がある。
8: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/28(木) 00:05:22.64 ID:Hn8UeK6k0
父は、私が片親である事を私以上に気に掛け、何不自由無く育ててくれた。
本当に、何不自由無く。
身の周りの全てに介入し、過保護という言葉では足りぬ程、甲斐甲斐しく私を育てた。
私の気持ちを不思議な程に汲み、理解し、把握した。
何時しか私に出来るのは首を縦か横に振る事だけになっていた。
9: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/28(木) 00:07:56.32 ID:Hn8UeK6k0
反発も覚悟していたが、父は何も言わず私の言い分に従った。
私の気持ちを汲み、理解し、把握したという事なのだろう。
逆に父の心配もしないではなかったが、毎月の仕送りが途切れぬ所を見るに無事なのだと思う。
小娘一人が生活するには過剰なまでの金額で、貯まる一方だ。
いつかこの金で孝行をしてやろうと思っている。
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