47: ◆ao.kz0hS/Q[saga]
2017/02/25(土) 22:52:20.08 ID:CYpm3u/s0
「し、知ってた…? Pさんってさ…実は私より身長低いんだよ…? それなのに…わ、わ、私が…妹だなんて…お、おかしい…よね……」
「だりー……っ!」
涙をボロボロ流しながら、それでも平静を装おうとするだりーがあまりに痛々しくて、見ていられなくなったアタシはだりーを抱き締めて、頬で涙を拭ってあげた。
「どっちかっていうと…わたしが…おねぇちゃんで…ひっく…Pさんがおとうと…にみえるよね…? こんなの…お、おかしいよね……」
「あぁ……そうだな……」
「い、いもうとみたいだなんて…そんなの……う……うわぁぁぁぁん、フラれたよぉ〜〜っ!」
単語帳が床に落ちるバサッという音がして、アタシの背中には二つのか弱い体温。
そのか弱さを補うようにアタシは腕の力を強める。
「せっかくなつきちが…もっと時間をかけた方が良いって…ぐすっ…アドバイスしてくれたのに……が、我慢できなくて……それで見事に玉砕して…世話ないよね……」
「だりー……」
アタシの記憶が正しければ「考え直した方が良い」とは言ったが、だりーはそういう風に解釈していたのか……いやそれよりも、Pはちゃんと断ったんだな…。
だりーが早々に踏み切ったのは想定外だったけど、だりーの想いが成就しなかったことは確かなようで…傷心のだりーを可哀想に思う一方、どこかホッとしてしいる自分がいた。
「だりー…あぁ、可哀想にな……」
「なつきち……んっ」
だりーの後頭部を撫で、また頬擦りをする。
この格好じゃお互いの顔は見えないが、アタシにはだりーがどんな表情をしているか手に取るように分かっていた。
だりーはアタシの表情は分かるだろうか?
いや、絶対にわからないだろうな……なんせ……だりー、ごめんな…アタシはほくそ笑んでるんだから…。
Pにだりーを取られることがないって分かって…アタシは嬉しいんだ…ニヤつくのがやめられないくらいに…相棒なのに最低だよな……ホント最低だ…あぁ…アタシはいつからこんな……。
「なつきち…ありがとう……もう大丈夫…っ」
「ん…そうか…」
だりーの呼吸が安定してくると背中に回っていただりーの腕が離れて、ハグは解かれた。
深刻そうな表情を張り付けてだりーと向き合うと、思った通り目と鼻先を赤くして、それでも涙は止まっていた。
「あ…そうだ! 知り合いのハコ行ってメチャクチャ演るか? それとも、バイクで海岸までぶっ飛ばすか?」
「えへへっ……ありがとう。でも、本当に大丈夫! それに、このモヤモヤはスッキリさせちゃダメだから……」
「ん…?」
「私決めたんだ…絶対諦めないって!」
「……え?」
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