63:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/09(水) 21:33:43.75 ID:3bKI/3gF0
「……ねえ、フータロー君」
「なんだよ」
「一つお願い聞いて」
「それで解決するならこの際聞いてやるよ……」
「…………やり直し」
64:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/09(水) 21:34:12.65 ID:3bKI/3gF0
なんだか上手く流されてしまった気がするが、あんな面倒な状態の一花をこの先慰める手間を思えば、ちょっとちゅっとやって納得してもらった方が早いと自己完結してしまった。生憎というか幸運というか、同じ体のつくりをした連中で事前練習はばっちりなので、俺が上手いことリードしてやればすぐ終わる。俺もこんなことを考える人間になってしまったんだなぁと変わり果てた自分の姿に悲しくなるが、背に腹は代えられまい。
一花と目線を合わせるべくソファに両膝をついて、はーっと大きく息を吐く、大義のために短期的な犠牲は止むを得ないのだと必死に自分を説得しながら。
65:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/09(水) 21:35:02.93 ID:3bKI/3gF0
「……とりあえず目を瞑れ」
「……ん」
「……高さの都合的に、ちょっと上向いて」
「……ん」
「……あとはもうちょい力抜け。またぶつかるぞ」
66:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/09(水) 21:35:58.25 ID:3bKI/3gF0
「……じゃあぼちぼち行くから覚悟決めとけよ」
「…………ん」
さっき一度唇どうしがくっついているので、それに対しては抵抗感が少ない。守るものが少ないと、人は無敵になれるらしい。とにかくちゃちゃっとやって後は何事もなく帰ろう。それが俺のためだし、ゆくゆくはこいつらのためにもなると信じている。
67:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/09(水) 21:37:53.66 ID:3bKI/3gF0
背に手を当てて、彼女の体をゆっくり引き寄せ、口づけた。その瞬間、一花が怯えるようにびくりと体を震わせたがそれは無視。いちいちそういうのに構っていては日が暮れてしまうというか、もう夜だから朝が来てしまう。
先ほど感じた仄かに香るオレンジは時間経過のせいか消え去っていて、そこにあるのは素で少し甘い唾液の味だけ。このなんとも言えない風味をまた感じることになってしまったのは遺憾としか言えないが、今後のことを考えるなら仕方ない。
一花は借りてきた猫のように大人しく、俺の舌の動きを緩慢になぞるだけだった。これではまるで俺が二乃に犯されたときの構図を逆転したようで、奇妙過ぎる因果に頭が痛くなってくる。
というかこれ、一花は下手くそなままじゃないのかという疑問は、そっと胸にしまい込んだ。そんなことを言っていたらもう一回、あと一回と無限にだらだらループしていくのが丸わかりだし、俺が保たない。正直今もかなり恥ずかしいのにこれ以上なんて勘弁被る。
自分が冷静であるからこそ、この行為の異常性は承知している。ここ最近色々あったせいで俺の中にある心理障壁がずいぶんしょぼくれたものになってしまった。人並みの貞操観念は持ち合わせていたはずだったのに。
68:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/09(水) 21:38:20.40 ID:3bKI/3gF0
それなりの時間唇を触れさせ合って、それなりの量唾液の交換を終えたと判断したので、ゆっくりと彼女から離れる。伝う唾液の橋は見て見ぬふりをすることにした。
「お、終わり……?」
「終わり」
69:名無しNIPPER[sage]
2019/01/10(木) 00:03:08.31 ID:odGkdFmYo
じらすねぇ!
70:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/10(木) 00:38:56.46 ID:Xx5qo0vS0
「こ、こんな感じなんだね」
「分かったら今度こそ服着てくれ」
未だに下着のままなので、やっぱり目線を迷わせざるを得ない。もし着衣状態だったとしても、顔をじろじろ見ることが出来たかどうかは謎だけど。
71:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/10(木) 00:39:30.41 ID:Xx5qo0vS0
「なるほど……」
「なんだよ」
俺の顔と自分の手許とを交互に見比べる一花の一言。一体何に納得したかは不明だし、これと言って聞き立てようとも思わなかった。
というのも、こういう状態のままで拘泥していると碌な結末を迎えないのが火をみるより明らかだからだ。閉鎖環境は人を充分に狂わせ得る。早急に立ち去らないことには、まーた面倒なことが起きるに違いないのだ。
72:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/10(木) 00:40:14.23 ID:Xx5qo0vS0
「あの、フータロー君……」
「やめろ。それ以上言うな」
もじもじと内腿を擦り合わせる涙目の一花。全身からはフェロモン的なものが漂っているし、次に口から放たれる言葉がどんな類のものかはやすやすと推測できた。
こうなってしまうと、もう聞かないか言わせないか以外の対抗手段がない。耳を塞いでも骨振動で聞こえてしまうだろうから、ええいままよと片手で直接彼女の口を押さえにかかる。
73:名無しNIPPER[ saga]
2019/01/10(木) 00:41:21.58 ID:Xx5qo0vS0
「私すっごいむらむら……」
「あーーーーー」
カラオケボックスという防音環境を最大限に生かし、彼女の言葉を封殺。がっつり聞こえてしまった気もするが、封殺。
ここには何もなかったし、俺は何も聞かなかった。それがなにより一番だ。そもそも……なんだ。俺自身、さっきので不覚にも盛り上がりかけているので、ここで下手に一押しされるとまずい。二の舞三の舞まで秒読みだ。
108Res/64.73 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20