【グラスリップ】透子「かけるくん?」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/03(水) 19:40:26.53 ID:DvK9a+dU0
 †

 ピアニストの母さんは、職業柄なのか、人柄なのか、ひとところに留まらない人だった。

 それが原因で、子供の頃から俺は各地を転々としてきたけれど、そのことで母さんを恨んだことはない。

 むしろ、母さんのしていることは、それがなんであろうと、正しいように感じられた。

 母さんのような生き方に、憧れていた。

 広い世界を飛び回る、まるで翼が生えているような、母さんの背中。

 その後ろについていくことを許されたのだから、俺は恵まれていた。

 母さんの生き生きとした姿を間近に見ることができて、俺は誇らしかった。

 ……ただ、一つだけ。

 この胸にわだかまる気持ち。

 ふとした瞬間に襲いくる痛み。

 それだけが、ずっと、影のようにぴたりと付いてきて、俺を苦しめた。

 しかし、それも俺が完全な人間になれば。

 散らばる断片を集めて完成した形になれば。

 いつか、何かしらの決着をつけられるはずだ、と。

 そう、思っていた。


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