102:名無しNIPPER[saga sage]
2019/04/15(月) 09:05:23.50 ID:SWPDcXJr0
<第9話 月>
翌日の昼下がり。
家のリビングから夜想曲が流れてくる。
いつものCDの再生ではない――生身の母さんの演奏。
その旋律を俺はテントの中で聴いていた。
さっきからずっと同じことを考えている。
あの美術準備室で透子に何が起きたのか。
いや、教室の中だけではない。外に出てからも異変は続いていたようだった。
それに、腕を掴んだ時の、怯えきった表情――。
透子は何を見たんだ……?
「………………」
そうして、母さんの演奏をBGMに、透子のことを考えていて、ふと俺は気づく。
俺の音は……?
耳を澄ませる。だが、母さんの演奏以外、何も聞こえてこない。
俺はテントを出て、リビングのガラス窓の前まで行って、演奏する母さんの姿を見ながら、また耳を澄ませる。
やはり何も聞こえてこない。
さらに確信を得ようと、俺は家を飛び出した。
例の高台までやってくると、乱れた呼吸を整え、母さんの演奏と透子のことを思い浮かべながら目を閉じた。
しかし、それでも。
「《欠片》が……聞こえない……?」
異変が起きたのは、透子だけではなかった。
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